あ01 桃葉珊瑚あおき>>>技巧呪術アート・マジック

桃葉珊瑚あおき354,356
赤格子の塀あかごうしのへい210
悪魔教355→バルダス
揚蓋あげぶた362,504
薊と葡萄の葉文209
海豹あざらし464→北方海賊ヴァイキング風の兜
あすはヴァレンタインさまの日390→オフィリア
悪鬼バリ606→バリ
油時計409
網龕灯353,356
嵐の森573
暗黒星261
暗号201,416,543,564,567,文字・457,・法458,フリーメーンン・459,子持ち・564,・語564
暗号解読家416,429,611
暗視隠形584→グイディオン
『暗視野照輝法』414→シャウディンとホフマン
暗喩332
砒食人アーセニック・イーター639
アーチ形の格子211
技巧呪術アート・マジック・魔術200,329,616

桃葉珊瑚あおき

354,356
▼大体に於いて、聖サンガール寺院(瑞西コンスタンス湖畔に六世紀頃愛蘭土僧の建設したる寺院)や、南ウェールスのペンブローク寺アベイなどにも現に残存している、露地式葬龕カタファルコを模したものであったが、それには、著るしい異色が現われていた。と云うのは、墓地樹として、典型的な、ななかまどや枇杷びわの類がなく、無花果いちじく・糸杉・胡桃くるみ・合歓樹ねむのき・桃葉珊瑚あおき・巴旦杏はたんきょう・水蝋木犀いぼたのきの七本が、別図のような位置で配置されていた。354p
■ミズキ科の常緑低木。暖地の照葉樹林に自生。葉は長楕円形で大きく光沢があり、縁に浅い切れ込みがある。春、帯紫褐色四弁の小花を開き、冬、紅色の実を結ぶ。雌雄異株。葉は火傷の薬となる。園芸品種が多く、庭木として普通。【広辞苑】

赤格子の塀

210
▼法水は正門際で車を停めて、そこから前庭の中を歩き始めた。壁廓の背後には、薔薇を絡ませた低い赤格子の塀があって、その後が幾何学的な構図で配置された、ル・ノートル式の花苑かえんになっていた。210p

悪魔教

355→バルダス
▼未だに、悪魔教バルダスの遺風が残っていて、ミュイヤダッチ十字架クロッス風の異教趣味に陶酔する者があると云われる――あのウェールス生れなんだ。355p
■Bardas, one of fictional king of ancient celts【ERE】
■barddas [mf.] - (n.) poetry, poetics, bardism
■Barddas  a work of certain current of sixteenthcentury Cymric thoughts

★現在、バルダスとは、ウェールズの吟遊詩人共同体Gorseddの創始者であるlolo Moegawg(Edward Williams)が、天地創造を描く際に広めた詩的な試みとして知られている。内容はドルイド教の構造や信仰をキリスト教へと近づける試みであったが、この潮流自体を往時は「悪魔教」と呼び異端扱いした可能性もある。
また「The Barddas of Iolo Morganwg」J. Williams Ab Ithel(1862)の内容を見ると、Bardic Secretとしてドルイド教の神の名を示す文字表記が多数あり、非常に呪術的な要素を含んでいる点も注目すべきである。 虫太郎が「悪魔教」と形容した由来につながるのではないか。

Welsh druidic text The Barddasで使用された文字。.
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揚蓋あげぶた

362,504
▼隠扉かくしどもなければ、揚蓋あげぶたも秘密階段もありません。ですから、確実に、再び開く事ナット・ロング・デイヴイジブルなし――なのです。362p

薊と葡萄の葉文

209
▼けれども、正門までは手入れの行届いた自動車路が作られていて、破墻梃はしょうてい崩しと云われる切り取り壁が出張った主楼しゅろうの下には、薊あざみと葡萄の葉文が鉄扉を作っていた。209p
■薊thistle スコットランドの象徴で国花【JSE】
■薊Acanthus[羅] キツネノマゴ科の大形多年草。葉は披針形で羽状深裂。夏、長花茎を出して白色から淡紫色の唇形花を穂状につける。古代ギリシア・ローマの建築では、南欧原産の葉をもとにして柱頭文様とした。また、キツネノマゴ科ハアザミ属植物(その学名)。南欧、熱帯・亜熱帯のアジアに約50種が分布。ハアザミ。【広辞苑】
 thistle crest
 grape crest

海豹あざらし

464→北方海賊ヴァイキング風の兜
▼水牛の角と海豹あざらしの附いた北方海賊ヴァイキング風の兜 464p
■食肉類アザラシ科の哺乳類の総称。13属19種。体長1〜2メートルで、キタゾウアザラシやミナミゾウアザラシは6メートルに達する。 泳ぎに適した体形で、耳介がなく、首は短い。後足は完全に後向き。寒帯の海にすむが、出産は陸上。北海道近海ではゴマフアザラシ・ワモンアザラシ・ゼニガタアザラシなどがいる。脂肪は保革油などに用いる。ネツブ。【広辞苑】

あすはヴァレンタインさまの日

390→オフィリア

★[Sings]To-morrow is Saint Valentine's Day,
All in the morning betime,
And I a maid at your window,
To be your Valentine.
Then up he rose, and donn'd his clothes,
And dupp'd the chamber-door;
Let in the maid,that out a maid
ever departed more.
【ACT W SC X46 HAMLET Shakespeare; notes by S.Ichikawa Kenkyusha 1928】

★オフィリヤ どうぞもうそのやうなこと何もおっしゃらないで下さいまし、でも若し何のことかと人が聞きましたら、かうおっしゃいませ。
歌ふ。
明日の祭はヴァレンタインさまよ、
朝の早いとき見はかろて、
ぬしのお方になりたいものと、
窓に立つわたしは處女むすめ、
それと見るより男は起きて、
身づくろひして窓の戸あける、はいる時には處女で、戻りのときは
純潔うぶの處女むすめぢゃ出られやせぬ。
【ハムレットW-X340p下戯曲全集3英吉利編1佐藤篤二譯】

★あすは十四日バレンタインさまよ、
門かどへ行こぞや、引明方に、
ぬしのお方になろずもの。
それと見るより門の戸あけて、
ついと手を取り引入れられたりゃ
純潔うぶの処女むすめぢゃ戻られぬ。
【ザ・シェークスピア 坪内逍遥譯 第三書館】

★ハムレットに冷たくされて、狂ってしまったオフェリアの口ずさむ歌です。妙に下世話で上品な良家の子女が口にするのがはばかられるような歌詞ですが、聖ヴァレンタインの日の最初に出会った異性とは将来の連れ合いになれるという、今でも口にされている俗信をいわばそのまま願望を込めて歌にしたものと言えるかもしれません。この歌の下世話な感じと可憐なオフィリアとの落差が哀れさをひとしお盛り上げるというわけですね。

悪鬼バリ

606→バリ
▼見ると、右手の上方に、凄愴な生え際を見せた悪鬼バリ(印度クルスナ古典に現れる悪魔の名)の木彫面が掛っていて、その左眼の瞳が、五分ばかり棒のような形で突き出ている。606p
■バリBali 倭人(小人)の姿をとるヴィシュヌ神の化身の神話、『超三界』Trivikrama(トゥリヴィクラマ)に登場する魔人。

★ある時、悪魔バリ(Bali)がインドラ神の都、アマラーヴァティー(Amaravati、現アーンドラ・プラデーシュ州)を占領し、三界(天上界、地上界、地下界)を支配していた。神々達はこのことに大変困っていた。そこで、神々の母アディティがヴィシュヌ神に祈ったところ、ヴィシュヌ神は、彼女の願いを聞き入れ、ヴァーマナ(倭人)の姿となって、その女神の息子として生まれ変わった。
ヴァーマナは、バリの祭場へ行った。バリはこの倭人の訪問を喜び「望むものは何でもあたえよう。お前は何を望むか」と尋ねた。
そこで、ヴァーマナは「自分が三歩で歩けるだけの土地が欲しい。」と要求した。
バリは、彼の小さな体にすっかり安心して、快く彼の願いを聞き入れた。すると、ヴァーマナはヴァーマナは瞬く間に巨大な姿のヴィシュヌ神になり、一歩目で地上界を、二歩目で天上界を、三歩目で地下界をまたぎ、全世界を自分の手に入れ、さらに、バリを地下界の奥深くに踏みつけてしまった。
こうして、ヴァーマナのおかげで、インドラ神をはじめとする神々達は天上界での平和な暮らしを取り戻した。

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油時計

409
★最古の火時計はろうそく時計で、西洋では西暦900年ころまでもちいられた。当時のろうそく時計は長さ12インチで、1インチごとに印をいれて火を点じ、1インチの蝋のもえつくす経過から時を知るようにしてある。目盛りには白い角の粉を透明なほど薄く煉って、文字を溝のようにほり、それに塗りこんだ。日本でもこの法に準じて時を計った時代があった。
ついでランプ時計はスペインのフェリペ2世の室に夜間時をしめすのにもちいられたものが最初であるといわれる。 ガラス製の油入に目盛りをきざみ、時間を計るしかけで、近世までドイツ、オランダで使用された。

オイルランプ時計


近江神宮の火時計
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網龕灯

353,356
▼網龕灯の赭黒い灯が、薄く雪の積った聖像の陰影を横に縦に揺り動かして、何とも云えぬ不気味な生動を与える。またその光は、法水の鼻孔や口腔を異様に拡大して見せて、如何にも、中世異教精神を語るに適わしい顔貌を作るのだった。
■強盗提灯ガンドウジョウチン 銅またはブリキで釣鐘形の外枠を作り、中の蝋燭立てが自由に回転するように作った提灯で、先方だけを照らし自分の方へ光のささない装置のもの。遮眼灯。龕灯。【広辞苑】


嵐の森

573
▼彼の眼前に現われた一つの驚くべきもの以外の世界は――座席の背長椅子バルダシンも、頭上に交錯している扇形の穹窿きゅうりゅうも、まるで嵐の森のように揺れ始めて、それ等がともども、彼の足元に開かれた無明の深淵の中へ墜ち込んで行くのだった。実に、その消え行く瞬間の光は、斜めに傾いで仮髪の隙から現われた、白い布の上に落ちたのである。572-3p

暗黒星

261
▼そして、そのために、最初宇宙の極限に達した時、そこで第一の像を作り、それから、数百万年の旅を続けて球の外圏を廻ってから、今度は背後に当る対向点たいこうてんまで来ると、そこで第二の像を作ると云うのです。然しその時には、既に太陽は死滅していて一個の暗黒星に過ぎないでしょう。261p
■暗黒星雲 天の川の所々にある暗黒な部分。不透明な微固体の煙状物質や厚いガスが存在し、背後の星の光をさえぎっている。【広辞苑】
■パルサーpulsar 規則的にパルス状の電波を放射する天体。パルスの周期は百分の一秒ないし数秒。蟹星雲の中心部にあるパルサーは超新星の残骸で、パルスの周期で自転する中性子星である。【広辞苑】

オリオン座にある暗黒星雲・馬頭星雲

暗号

201,416,543,564,567,文字・457,・法458,フリーメーンン・459,子持ち・564,・語564
▼また、猶太ユダヤ秘釈義カバラ法からは、四百二十の暗号がつくれると云うけれども、それ以外のものは,所謂純正呪術であって、荒唐無稽も極まった代物ばかりなんだ。201p
■秘密を保つために、当事者間にのみ了解されるようにとり決めた特殊な記号・ことば。あいことば。【広辞苑】

★「小栗虫太郎と暗号・長田順行」『小栗虫太郎傑作選U白蟻』235p現代教養文庫1976
*とにかくこれ以上のものはないであろう専門家による分析と解説。(単行本としては『推理小説と暗号』ダイヤモンド社1979の一部として収録、後に『暗号と推理小説』 現代教養文庫1986に所収)

暗号解読家

416,429,611

暗視隠形

584→グイディオン
▼いいえ、私がもしグイディオン(ドルイド呪教に現れた、暗視隠形に通じていたと云われる大神秘僧)でしたら、或は知っていたかも知れませんわ」584p
■隠形法オンギョウホウ 真言の行者が、自己の姿を隠して身を守るとされる呪法。摩利支天の印を結ぶ。隠形インギョウ、オンギョウ呪術によって、身をかくすこと。おんぎょう【広辞苑】
■隠形鬼オンギョウキ 形を隠して神変不思議のわざわいをする鬼類。【広辞苑】
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『暗視野照輝法』

414→シャウディンとホフマン
▼それで、一案として顕微鏡の下に黒い背景バックを置き、光源を変えて水平から光線を送るようにしたのですが、その結果始めて、透明の菌だけから反射されて来る光線を見る事が出来たのでした。つまりこの場合は、左横の『シサムネス皮剥死刑之図』の脇から発して、画面を水平に撫でている光線が、それに当るのですよ。すると勿論、色彩から光度ヘリヒカットの方に、本質が移ってしまいます。ですから、黄や黄緑のような比較的光度の高い色や、対比現象で固有のもの以上の光度を得ている色彩は、恐らく白光に近い度合で輝くでしょうし、またそれ以下のものは段階をなして、次第に暗さを増して行くに違いないのです。414p

■Dirk-field illumination【MD】
■暗視野観察dark-field microscopy 明視野観察では不明瞭な透明で色のないサンプルを、照明方法を変えて改善しようとする手法。大まかには、明視野では正面からであった照明を斜めから当て、散乱光を用いて高いコントラスト下で行う観察方法。Fritz Schaudinn、Erich Hoffmannらの研究を参照のこと。

★(1906年ベルリンの大学で)シャウディンとホフマンは、顕微鏡の下に黒い背景をおいて、検査する物体を通過してくる光線を全部遮断してしまった。彼らは光線を一方に動かし視野を横切って水平に光線を送るようにした。こうして彼らが見ている方向と直角の方向に光を照らすと、光源からの光線がぶつかった物体から反射されてくるところの光線だけを見ることができた。暗視野照輝法の原理は、丁度、室内の空気の中の塵埃は普通見えないものだが、日光の光の中では見えるのと同じ理屈である。この検査方法によって黴毒の病原菌を見ることができた。【D.D.D.】

暗視野顕微鏡撮影による放散虫
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暗喩

332
▼それなので、紆余曲折をたどたどしく辿って行って、最初からの経過を吟味ぎんみしてみても、大体乾板などと云う感光物質に依って、標章形象化される個所ところは勿論の事だが、それに投射し暗喩するような、連字符一つさえ見出されないのである。332-3p
■隠喩法metaphor 修辞法のひとつ。たとえを用いながら、表現面にはその形式(「如し」「ようだ」等)を出さない方法。白髪を生じたことを「頭に霜を置く」という類。暗喩法。【広辞苑】

砒食人アーセニック・イーター

639
▼ダンネベルグ夫人もやはり砒食人アーセニック・イーター――常日頃神経病の治療剤として、夫人は微量の砒石を常用していたのだ。639p
■arsenic砒素【SSD】-- eater

★欧州のある一地方にありては砒石を多量に食する所謂砒素貪食者アーセニックイーターが沢山住っている。(略)かの有名なメイブリック毒殺事件に於て、メイブリックが「自分に取りては亜砒酸は疲労を休むる甘露である」と自白したことは、決して不思議なことでなく、裁判官を始め毒殺事件に携わるものはこの事情ををよく考慮しなければならぬ。(原文正字)【毒と毒殺 "六毒と軆質"小酒井不木全集1 351p改造社s.6.6刊】

★虫太郎が参照した可能性の高い「1911エンサイクロペディア」のaesenicの項目中には「リウマチ関節炎、マラリア神経痛・貧血、舞踏病、喘息、花粉症に効能があり、不眠症に対して、皮下注射が効果的」と記載されている。
また砒食人については、19世紀半ばからオーストリアのストリア人が砒素を食していたことが有名。美容や健康増強に効果的とされたこの風習は20世紀初頭にヨーロッパに広く知れ渡り、砒素を化粧品・健康促進剤として使用するさきがけとなった。
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アーチ形の格子

アーチ形の格子

211
▼勿論その部分は礼拝堂に違いなかった。けれども、張出間アプスの窓には、薔薇形窓がアーチ形の格子の中に嵌はまっているのだし、中央の壁面にも、十二宮を描いた彩色硝子ステインド・グラスの円華窓のある所を見ると、これ等様式の矛盾が、恐らく法水の興味を惹いた事と思われた。210-1p
■arch 窓・門・橋などの開口上部を、くさび形の石や煉瓦を組み上げて曲線状に構築したもの。諸種の形式がある。迫持セリモチ。拱キョウ。洋風庭園や祝典会場などに設ける緑門リョクモン。グリーンアーチ。一般に、弧形。穹窿キュウリュウ。【広辞苑】

★窓の前には昔ながらの教会が立っている。それは美しいとはいえないが、高い屋根と高い塔とがあり、塔の上には金の十字架がついていて、およそほかの家に比べるとずっと古く灰色に見えていた。あるとき私は誰がその中に住んでいるのか知りたくなって、鉄格子の扉の間からのぞきこんだことがある。ところが中は全く空っぽで、冷たく侘しく──実際屋内には人っ子ひとりいなかったので──それ以後というもの、私は扉のそばを通りかかると、いつも身顫いがしたものである。【『愛は永遠に』マックス・ミューラー 相良守峯訳 角川文庫10p】

技巧呪術アート・マジック

616, ・魔術 200,329
▼勿論技巧呪術アート・マジックそのものは、幼稚な前期化学に過ぎないさ。けれども、その神秘的精神たるや、暫くのあいだ、化学記号を化して操人形たらしめていた程だからね 616p
■方術 [ほうじゅつ] /(n) means/method/art/magic/

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