あ05 アルベルツス・マグヌス>>>アンリ・ピエロン

アルベルツス・マグヌス330
アルボナウト355
アルマーの地が聖化585→聖パトリック
アルルッツの著述387
アルンハイム439
アレキサンドライト617,618,633,643,・の方が吉617
寓喩アレゴリー479,491,626,644
アレツオ253
アレフ457,458
希伯来ヘブライ称「神の眼アレフ」458
アン,キューダビイ205
アン,女王クイン340,365,女王アンの透し刷340
『呪法僧』アンギラス358→チルダース
角度アングル275 (ルビなし)352,426,427,465,500,536,537,561
中欧死神アンコウ口碑428→アナトール・ルブラ
旧制度的アンシャンレジーム511
讃詠歌アンセム,讃詠アンセム281,295,296,298,299,310,325,385,443,446, 朝の・378,444
亜歴山府アレキサンドリアのアンティオウス330
アントアンヌ・ロシニョール史上最大の暗号解読家416
アンドロメダ座357
世紀児的アンファンデシェクル334
アンリ・ピエロン386→ヒステリー性知覚脱失

アルベルツス・マグヌス

330
▼また、例のアルベルツス・マグヌス(*原注 十三世紀の末、エールブルグのドミニク僧団にいた高僧。錬金魔法師の声名高しと雖も、通性論哲学者であり且又中世著名の物理学者殊に心霊術士としては古今無双ならんと云わる)が、携帯用風琴レガールで行おこなった時も同じ事なんだ。 330p

■アルベルトゥス・マグヌス Albertus Magnus 本名Albert Graf Bollstadt (1193頃-1280)
ドイツのスコラ哲学者、神学者、自然科学者、聖人。シュヴァーベンに生る。博学の故に〈大アルベルトゥス〉、また全科博士Doctor Universalisと呼ばれた【IB】
■アルベール・ル・グラン【「悪魔学大全」 第9章153p 酒井潔 桃源社1974】【「愛の魔術」75p 酒井潔 桃源社1978】
★参考文献「大アルベルトゥスの秘法」 立木鷹志編訳 河出書房新社1999

Albertus Magnus「錬金術図像大全」(平凡社)から
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アルボナウト

355
▼最初に、墓地樹の配置を見給え。アルボナウト以後の占星学アストロジーでは、一番手前の糸杉と無花果とが、土星と木星の所管とされているし、向う側の中央にある合歓樹ねむのきは、火星の表徴シムボルになっているのだ。 355-6p

★可能性が高い人物
Albenahait(770-835) 通称Abu 'Ali al-Khaiyat 別名 Albohali, Albohali Alghihac, Albohali Alchai
アラブの占星術者、10冊以上の天文学書を書いたとされる。Masha'allah ibn Athar? の弟子。現存する著作は、"Book of the secret action""Book of Birth"。著書はこちら(世界デジタル天文学図書館)で見られます。
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★可能性ある事柄
アルゴナウタイArgonautai ギリシア神話の長編叙事詩に登場する英雄たちの総称。イアーソーンに率いられて巨大なアルゴー船で数々の航海をする。アルゴナウタイの航海と黄道十二星座の関連を指摘したのはアイザック・ニュートンである。物語がエジプト、とりわけアレクサンドリアの十二星座の影響を受けた可能性があるとする。
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★アロマセラピー専門誌『aromatopia 48号イスラム文化の香りとハーブ-中近東を中心に-』の「アラビア占星術と医学」の中では(ここでは「アストロラーブ」として紹介されています)、9世紀から10世紀にかけて活躍したユハンナー・イブン・アッ=サルトが、その著作『占星医学概論』で、アストロラーブを使ってアセンダントを見つけ、それを治療の指針の一つにしていた、と記されています。また、11世紀の学者アル=ビールーニーA?mad al-B?r?n?の『占星術入門』では、星座や惑星と植物・香りの関係について示されていたとのことです。
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アルマーの地が聖化

585→聖パトリック
▼所が、今日の事件では、殯室モーチュアリー・ルームの聖パトリックを守護神にして、僕はドルイド呪僧と闘わねばならなくなったのです。貴方は、あの愛蘭土アイルランドの傑僧がデシル法――に似た行列を行うと、それがドルイド呪僧を駆逐して、アルマーの地が聖化されたと云う史実を御存知でしょうか 585p

■Armaghアーマー【地図】アルマー【HA】 ×Almah【愛蘭神話傳説集】
■アイルランド北部。445年には、ローマ教皇からケルト人にキリスト教を布教するという役目を受けたパトリキウス(聖パトリック)がアーマーに布教活動拠点となるな教会を設立した。このとき彼はアイルランドに元々存在したケルトの宗教観を改宗させるのではなくキリスト教とケルトの宗教観を融和させる形を取りキリスト教を布教した。布教活動の拠点であった教会があったことから、アーマーはアイルランドで宗教上重要な都市とされることがある。

★Such worship remind the horrid rites of sacrifice to Baal and Moloch. It has been supposed that Druidism came from the Phoenicians, from whom the Hebrews derived their worst forms of idolatry. The Druids had their Baal, as appears from their Beltine* fires. To face the sun was to be about right in the world. The word south meant right, and north meant wrong. If one was beginning any work, he must first look toward the sun if he would prosper. A boat going to sea must turn sunwise. As soon as people were married they must make a turn sunwise. The dead were borne sunwise to the grave. Perhaps this was one reason why Dichu wished the new church to face the south. The fronting of build ings toward the east may have had a similar meaning. Certain men, who think that they must turn toward sunrise when saying their prayers, may ask whether they do not take their custom from the Druids, whose priests were likely to do the same thing. Thus follies creep into the very Church of Christ. They perhaps adored the sun, but they do not seem to have made idols. They held that their gods were omnipresent, and to be worshipped in roofless temples or within large circles of stones.
* Beal-tain, Beats fire-day. Beal means the sun ; in honour of the sun the fire was made.
【"St. Patrick and the early Church of Ireland " Blackburn, Wm. M. (William Maxwell)(1869) Cap126】原文はこちら
  *引用英文中sunwiseがデシル法の別名
ドルイドにおいては太陽に対面することが世界と向き合うことを意味した。そのため「南」は正しいこと、「北」は誤ったことを表した。新しい事柄に直面した場合、太陽に向かう方向が選ばれた。たとえば、船を漕ぎ出す時や結婚式では「右回り」を選ぶように習慣づけられた。

アーマーの聖パトリック教会

同教会内にある聖パトリックのステンドグラス
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アルルッツの著述

387
  ▼所で、強烈な擽痒感覚かゆみに、電気刺激と同じ効果があるのを知っているかね。また、痲痺した部分の中央に、知覚のある場所が残ると、そこに劇烈な擽痒かゆみが発生するのも、多分アルルッツの著述などで承知の事と思うよ。 387p

■Sydney Alrutz (1868-1925) Volometerの発明者。スエーデン人。1901年Uppsala大学にてスエーデン初の心理学講義を行う。催眠術と心霊学研究に没頭し、1917年神経信号の計測を可能にし高く評価された。
★主要論文
Alrutz, S. (1922). Problems of hypnotism: An experimental investigation. Proceedings of the Society for Psychical Research, 32, 151-178.
Alrutz, S. (1897) ON THE TEMPERATURE-SENSES. Mind 1897 VI: 445-448
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アルンハイム

439 arnheim
▼(ワイマール侯ウィルヘルムの劣悪な兵質は、アルンハイムとの競争に敗れて、王の支援を遅延せり。しかも、ノイエンホーエンの城内にて、その事をいたく非難されしも、ウィルヘルム侯は顔色さえも変えず)*ウォルター・ハート『グスタフス・アドルフス』からの引用として 439p

■Arnhem(独:Arnheim)アーネム
オランダのヘルダーラント州の州都。ライン川に沿った美しい街で庭園都市、公園都市などとも呼ばれる。面積101.5平方キロ、人口約14万人(2003年)。オランダで唯一トロリーバスシステムがある。1233年建市。1443年、ハンザ同盟に加入し、1579年にはユトレヒト同盟に加入した。 第二次世界大戦中の1944年9月17日、イギリス第1空挺師団とポーランド独立パラシュート旅団がこの町とライン川にかかる橋の占領を命じられて降下したが、増援が続かず撤退した。

★ウォルター・ハート『グスタフス・アドルフス』
The History of Gustavus Adolphus, King of Sweden, Surnamed the Great. Walter Harte
原文はこちら

中世Arnhemの地図 (atlas map Johannes Blaeu 1599-1673)
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アレキサンドライト

617,618,633,643,・の方が吉617
▼「つまり、親愛な黄色――アレキサンドライトの方が吉で、紅玉ルビーの血は勿論凶なので御座います。そして、この二つを諾否だくひの表示しるしにして、どっちかを、演奏中私の髪飾りにしていてくれ――と、あの方は仰言おっしゃいました」 617p
▼「それが支倉君、あの夜最後に僕が伸子に云った――色は黄なる秋、夜の灯を過ぎれば紅き春の花とならん――と云うケルネルの詩にあるんだよ。まさにその瞬間、伸子は悲惨な転落を意識しなければならなかったのだ。何故なら、元来アレキサンドライトと云う宝石は、電燈の光で透かすと、それが真紅に見えるからだ。そこで僕は、伸子がレヴェズにあの室を指定して、自分はアレキサンドライトを髪飾りにつけ、それに電燈の光を透過すかさせて、レヴェズを失意せしめた――と解釈するに至った。ねえ支倉君、この警句はどうだろうね。レヴェズ――あの洪牙利ハンガリーの恋愛詩人ツールバールは、秋を春と見てこの世を去った――と」 643p

■alexandrite 金緑石(chrysoberyl)の一種で日光では緑色,人造光では赤紫色光を呈する石【SSD】
★猫目石キャッツアイも仲間。ロシア皇帝アレクサンドル2世の成年式の年1834年 にロシアのウラル山中で発見され、これにちなんで命名された。
★パワーストーンの観点からは、アレキサンドライトは青の力(サファイア)と赤の力(ルビー)の2つの力を合わせもつと考えられえている。これは太陽光線では青色に、人工光線では赤色に変化することから青の癒しの力と赤の現実の力の両方を有するとされる。そのため二面性を持った石とされる。

アレキサンドライトに照射する光によって現れる色の変化
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寓喩アレゴリー

479,491,626,644
▼それで、不図黄から紅に――と云う一言を、アレキサンドライトと紅玉ルビーの関係に、寓喩アレゴリーとして使ってみた。 643-4p
■allegory【SSD】

アレツオ

253
▼「ところで、死体から栄光を放った例を御存じでしょうか」
「僧正ウォーターとアレツオ、弁証派アポロジストのマキシムス、アラゴニアの聖セントラケル…もう四人程あったと思います。然し、それ等は要するに奇蹟売買人の悪業に過ぎない事でしょう」と法水も冷たく云い返した。 253p

★Arezzo?

アレフ

457,458
▼(Athbash法―ヘブライABCの第一字アレフの代わりに、その最後の字タウを当て、また第二位のベートの代わりに、最終から二番目のシンを当て、以下それに準ずる記法。Albam法―ヘブライABCを二つに区分し、アレフの代わりに後半の第一字ラメドを当てる方法。Atbakh法―各文字を、その数位の順に従って置き換える方法) 457p
■aleph[Heb]【SSD】
■ヘブライ文字の第1文字(?)。「アーレフ」ともいう。

ヘブライ文字のAthbash法による置換
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希伯来ヘブライ称「神の眼アレフ」

458
▼勿論金牛宮タウルスは、主星アルデバランの希伯来ヘブライ称「神の眼アレフ」通りに、第一位の◆アレフとなる。 458p
■aleph[Heb]【SSD】アルデバランの希伯来称【新星座巡禮 108p】

★牛座はギリシャ神話でゼウスの化身、よって牛の目は神の目となる。


「エウローペの誘拐」ティツィアーノ Tiziano "Ratto di Europa" (1559-1562)
美しいエウローペを誘拐したゼウスのエロティックなエピソードから。
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アン,キューダビイ

205
▼所で支倉君、最近現われた探偵小説家に、小城魚太郎こしろうおたろうという変り種がいるんだが、その人の近著に『近世迷宮事件考察』と云うのがあって、その中で有名なキューダビイ壊崩録かいほうろくを論じている。ヴィクトリア朝末期に栄えたキューダビイの家も、恰度降矢木の三事件と同じ形で絶滅されてしまったのだ。その最初のものは、宮廷詩文正朗読師の主キューダビイが、出仕しようとした朝だった。当持不貞の噂が高かった妻のアンが、送り出しの接吻をしようとして腕を相手の肩に繞らすと、矢庭に主は短剣を引き抜いて、背後の帷幕に突き立てたのだ。所が、紅に染んで斃たおれたのは、長子のウォルターだったので、驚駭した主は、返す一撃で自分の心臓を貫いてしまった。次はそれから七年後で、次男ケントの自殺だった。友人から右頬に盃を投げられて決闘を挑まれたにも拘かかわらず、不関気しらぬげな顔をしたと云うので、それが嘲笑の的となり、世評を恥じた結果だと云われている。然し、同じ運命はその二年後にも、一人取り残された娘のジョージアにも廻って来た。許婚者との初夜にどうした事か、相手を罵ったので、逆上されて新床にいどこの上で絞殺されてしまったのだ。それが、キュ?ダビイの最期だったのだよ。所が小城魚太郎は、到底運命説しか通用されまいと思われるその三事件に、科学的な系統を発見した。そして、こういう断定を下している。結論は、閃光的に顔面右半側に起る、グプラー痳痺の遺伝に過ぎないという。即ち主の長子刺殺は、妻の手が右頬に触れても感覚がないので、その手が背後の帷幕の蔭にいる密夫に伸べられたのでないかと誤信した結果であって、そうなると、次男の自殺は論ずる迄もなく、 娘もやはりグプラー痳痺のために、愛撫の不満を訴えたためではないかと推断しているのだ。 205-206p

★珍しい名字であるが、Cudabeeという名は実在する。

アン、女王クイン

340,365,女王アンの透し刷340
▼鎮子が漸ようやく、鎮魂楽レキエムの原譜を携たずさえて現われた。その譜本ふほんは、焦茶色こげちゃいろに変色していて、却って女王クインアンの透し刷が浮いて見え、歌詞は殆んど判らなかった。法水は手に取ると、早速最終の頁ページに眼を落したが、 「ハハア、古式の声音符記号で書いてあるな」と呟いただけで、無雑作に卓子の上に投げ出した。 340p
▼所で、斯う云う女王クイーンアン時代の警句を御存知ですか。陪審人が僧正ビショップの夕餐に与あずかるためには、罪人が一人絞くびり殺される――って。大体父と云う人物が、そう云った僧正ビショップみたいな男なんです。 365p

■Anne(1665-1714)Stewart朝 最後の女王(在位1702-14)【SSD】

★引用した本文からもわかるようになかなか波乱に富んだ時代の女王です。 尚、警句の引用は『髪盗みRape of the Lock』からのもの。
Mean while, declining from the Noon of Day,
The Sun obliquely shoots his burning Ray;
The hungry Judges soon the Sentence sign,
And Wretches hang that Jury-men may Dine;
The Merchant from th' Exchange returns in Peace,
And the long Labours of the Toilet cease.
         "Rape of the Lock" CANTOV

★もう一件、ポープ『An Epistle to Dr. Arbuthnot 』からの引用。こちらにはビショップが登場します。
Does not one table Bavius still admit?
Still to one Bishop Philips seem a wit?
Still Sappho ? A. Hold! for God's sake ? you 'll offend,
No Names! ? be calm! ? learn prudence of a friend!
I too could write, and I am twice as tall;
But foes like these ? P. One Flatt'rer's worse than all.
Of all mad creatures, if the learn'd are right,
It is the slaver kills, and not the bite.
A fool quite angry is quite innocent:
Alas! 'tis ten times worse when they repent.


Princess, later Queen Anne, at the time of her marriage in 1683, by Willem Wissing and Jan van der Vaardt
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『呪法僧』アンギラス

358→チルダース
▼チルダースの『呪法僧アンギラス』の中に、不空羂索神変真言経ふくうけんじゃくしんぺんしんごんきょうの解釈が載っているが、それに依ると、■ランは、火壇に火天を招く金剛火だ。 358p
※■ラン(梵字)
▼チルダースの『呪法僧(アンギラス)』の中に、不空羂索神変真言経(ふくうけんじゃくじんべんしんごんぎょう)の解釈が載っているが、358p

■アンギラスAngiras インド神話に登場する神話的聖仙。七人のリシ(賢者)の一人。無数の呪文を知り「アタルヴァ・ヴェーダ」の形にしインドラに捧げた。
■鴦耆羅angiras 阿達婆吠陀アタルヴァヴェーダによって、邪悪有害の呪詛調伏、黒魔術を行う僧侶の集団【印度~變術 第二回 武田豐四郎 變態心理第八號 t7.6】
★"Dictionary of the Pali Language"を1872-75年に刊行したことでチルザースRobert Caesar Childersは有名だが、「アンギラス」という著作は存疑不詳。

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角度アングル

275 (ルビなし)352,426,427,465,500,536,537,561
▼だから、そこにもし殺人動機があるのだとすれば、ファウスト博士の隠れ蓑──あの五芒星ペンタグラムマの円が判るよ。然し、どのみち一つの角度アングルには相違ないけれども、何しろ四人の帰化入籍と云うような、思いもつかぬものがある程だからね。その深さは並大抵のものじゃあるまい。 275p
■angle 【SSD】

中欧死神アンコウ口碑

428→アナトール・ルブラ
▼それに依ると、犯人を一種の展覧狂と信じている法水は、最初伝説学に考察の矢を向けたのだった。アナトール・ルブラの『ブリトン伝説学』やガウルドの「オールド・ニック」までも渉猟して、性別転換の深奥に潜んでいて犯罪動機に符合するものを、中欧死神アンコウ口碑の中に見出そうとした。 428p

■Coach of the Ankou , A.le Braz: La Legende de la mort. new ed.paris.1902 EREX-783
■アンクーankou 幻の馬車に乗って現れる死者の王。ブルターニュ地方のケルト民話【妖精と精霊の事典】
■アンクウ Ankou【民俗学の話 70】
■アンクーAnkou(Ahn-koo) ブルタニュー地方に伝わる死神、死の象徴たる精霊。コンウォール、ウェールズ、またケルト神話とも結びつきが深い。真っ黒な衣をまとい、通り過ぎる人間から魂を吸い取り、死に至らしめる。別名grim reaper。
あ03アナトール・ルブラ参照

旧制度的アンシャンレジーム

511
▼……その日はたしか、昨年の三月十二日だったと思いますが、突然先主が儂を呼び付けたので何かと思うと、今日偶然思い立ったので、此処で遺言書を作成すると申されたのでした。そして、儂と二人で書斎に入って、儂は隔った椅子の向うから、先主が頻りに草案を認したためているのを眺めて居りました。それは、オクターヴォ判型の書簡紙に二枚程のものでしたが、認め終ると、その上に金粉を撒いて、更に廻転封輪シリンドリカルシールで捺しました。多分貴方は、あの方が一切を旧制度的アンシャンレジームに扱うのを――つまり、その復古趣味を御存知でしょうな。所で、それが済むと、その二葉を金庫の抽斗ひきだしの中に蔵めて、当夜は室の内外に厳重な張番を立て、その発表を翌日行う事になりました。 511p

■Ancien Regime[F.old order]【SSD】
■フランス革命(一七八九)によって打破されるフランスの旧政治・社会体制。第一身分(僧侶)、第二身分(貴族)、第三身分(市民、農民)からなる封建的身分制度、絶対王政による集権的政治、第一・第二身分に免税特権を認めた租税制度を骨子とする。
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讃詠歌アンセム、讃詠アンセム

讃詠歌アンセム  281(章題のみこの表記)
讃詠アンセム 295,296,298,299,310,325,385,443,446, 朝の・378,444

▼再び鐘鳴器カリルロンが鳴り始めて、今度はラッサスの讃詠アンセムを奏で始めたのであった(ダビデの詩篇第九十一篇)。
夜はおどろくべきことあり
昼はとびきたる矢あり
幽暗くらきにはあゆむ疫癘えやみあり
日午ひるにはそこなう激しき疾やまいあり
されどなんじ畏ることあらじ
 法水はそれを小声で口誦くちずさみながら、讃詠アンセムと同じ葬列のような速度で歩んでいたが、然し、その音色は繰り返す一節毎に衰えて行き、それと共に、法水の顔にも憂色が加わって行った。そして、三回目の繰り返しの時、幽暗くらきには――の一節は殆ほとんど聞えなかったが、次の、日午ひるには――の一節に来ると、不思議な事には、同じ音色ながらも倍音が発せられた。そうして、最後の節は遂に聴かれなかったのであった。295-296p

▼「この通りだよ。鐘鳴器カリルロンの演奏には、女性以上の体力が必要なんだ。簡単な讃詠アンセムでも三度も繰り返したら、大抵ヘトヘトになるに極ってるよ。だから、あの当時音色が次第に衰えて行ったけれども、多分その原因が、この辺にありゝゃしないかと思うのだ」 325p

■Anthem 聖書の文句に基づくもので聖歌隊の歌う聖歌【SSD】
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亜歴山府アレキサンドリアのアンティオウス

330
▼所がさしもの聖オリゲヌスさえ嘆称たんしょうを惜しまなかったと云う、千古の大魔術師――亜歴山府アレキサンドリアのアンティオウスでさえも、水風琴ヒドラリウムの遠隔演奏はしたと云うけれど、その音調に就いては一向に記されていない 330p

★Antiochus,or AntiochusW(Epiphanes)【IB】→アンティオクス【教養文庫解題485】
★アンティオクスがセレウコス朝の君主で1-13世までいるが、何世を示しているか不明。以下のクテシビオスとの関連から考えると、三世(BC241-187、在位BC223-187)か、四世(BC215-163、在位BC175-163)が妥当か?ちなみに、アレキサンドリアを首都としたプトレマイオス朝との戦いを制したのは4世エピファネスである。

★紀元前264年にアレキサンドリアに住むクテシビオスCtesibiusが、水力によって空気を送り込み、手で弁を開閉させることによって音を出す楽器「水オルガン」(ヒュドラリウス (Hydraulis))を製作したことが記録に残っている。剣闘士の試合などの野外イベントの際に演奏されたことが判っている。水オルガンはアラビアに伝播し、改良が重ねられていった。
音源をこちらで聴くことができます。

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アントアンヌ・ロシニョール

史上最大の暗号解読家・416
▼素敵だ法水君、君はトムセンどころか、アントアンヌ・ロシニョール(史上最大の暗号解読家、ルイ十三、十四世に仕え、殊に僧正リシュリューに寵愛せらる)だよ 416p

■Antoine Rossignol (1600 - 1682)
フランスの暗号作成・解読の専門家。敵国の暗号文を数多く解読し、フランスでは"ロシニュール"という言葉で万能鍵を意味するようになった。大暗号と呼ばれるノーメンクラタを考案し、ルイ14世の王室で使用された。暗号の父とも呼ばれる。
■フランスルイ13世の時代の人。謀略の達人リシュリュー麾下で暗号の解読に従事した。【「虫太郎と暗号」 長田順行 教養文庫『白蟻』解説1976】

Antoine Rossignol
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アンドロメダ座

357
▼と云うのは、いま君の云った正方形が、所謂いわゆる天馬星ペガススの大正方形であって、天馬座ペガススの鞍星マルカブの外二星にアンドロメダ座のアルフェラッツ星を結び付け、そうして出来る正四角形を指しているからなんだ。 357p

■アンドロメダ座のα星「頭」の意【新星座巡禮・野尻抱影】
■北天の星座。ペガサス座の北東にある。一一月下旬の夕刻南中。
■Andromed[希]ギリシア神話のエチオピア王ケフェウスの王女。海神のおくった怪物の犠牲として岩壁につながれたが、勇士ペルセウスに救われて、その妻になった。
■アンドロメダ星雲 アンドロメダ座 ニュー(ν)星の近くに肉眼でも見える渦巻銀河。距離二四○万光年。銀河系とほぼ同じ大きさをもつ。アンドロメダ銀河。【広辞苑】



Peter Paul Rubens "Perseus Freeing Andromeda"(1622)
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世紀児的アンファンデシェクル

334
▼どうも、君の説は世紀児的アンファンデュシェクルだ。自然と平凡を嫌っている。 334p

■アルフレッド・ド・ミュッセ Alfred de Musset(1810-1857)の自伝小説【Confessions d'un enfant du siecle 1836 】が出典か?
『恋より恋へ 世紀病者の告白』アルフレッド・ド・ミュッセ 相馬御風/野尻抱影訳 新潮社 大正4年
『世紀兒の告白』 石川湧訳 三笠書房/世界文學選書15 (1949)
『世紀児の告白』小松清訳 岩波文庫(1953)
『世紀児の告白』栗原美佐子訳 角川文庫(1951)

Alfred de Musset
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アンリ・ピエロン

386→ヒステリー性知覚脱失
▼ねえ乙骨君、アンリ・ピエロンは、疲労に基くヒステリー性知覚脱失の数十例を挙げている。386p
■Pieron, Henri (1881-1964) フランスの心理学者。コレジュ・ド・フランスの感覚生理学教授。【IB】
★虫太郎が参照した可能性が高いのは"Thought and the Brain"(1910)  原文はこちら

Henri Pieron
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