く01 空間>>>薫烟くんえん

空間221,292,305,317,464,571,574,606,607,626,・構造260,・曲率260,・固有の幾何学的性質260,世界・261,時間・330,幻想的ファンタスティックな・615,・の特質354,・に対する感覚584,・的な感覚644
『空間・時・及び引力
スペース・タイム・エンド・グレヴィテイション』
291→エディントン
空中曲芸サーカス561
苦行者535
苦行僧334
鎖帷子くさりかたびら117
『孔雀王呪経じゅきょう』389
具足217,306,307,308,309,310,311,419,557,645
刳り込みの天井478
『黒夜珠吠陀クルスナ・ヤジュル・ヴェイダ』389
胡桃くるみ219,354,356,・の殻592
鉄くろがねの処女234
黒毛三枚鹿角立しかつのだち216,394
鍬形くわがた五枚立の兜300,311
薫烟くんえん622

空間

221,292,305,317,464,571,574,606,607,626,・構造260,・曲率260,・固有の幾何学的性質260,世界・261,時間・330,幻想的ファンタスティックな・615,・の特質354,・に対する感覚584,・的な感覚644
▼然し、音響学的な構造は天井にも及んでいて、楕円形の壁面から鍵盤キイにかけて緩斜かんしゃをなしている。しかもそれが恰度響板のように、中央に丸孔まるあなが空き、その上が、長い角柱形の空間になっていた。

『空間・時・及び引力スペース・タイム・エンド・グレヴィテイション』

291→エディントン
▼だから、僕が内惑星軌道半径をミリミクロン的な殺人事件に結び付けたと云うのも、究極のところは、共通した因数を容易に気附かれたくないからなんだ。そうじゃないか、エディントンの『空間・時・及び引力』でも読んだ日には、その中の数字に、てんで対称的な観念がなくなってしまう。291p
■Space, time and gravitatation 1920【IB】

★私は世界空間の全く新しい特質を茲に発見する。重力の場のあるものは物質の周囲に起こされたるものと考えられる。重力の場が世界空間の一次的歪みであるに対して物質はその全部の歪みに外ならぬ
【Eddington "Space, Time and Gravitation" 91p】
★先に、重力の特殊の場合が世界の座標軸の変換と同値であることを述べた。今又重力が世界各点の曲率と同値であることを吾々は見た。故に重力の場はとりも直さず世界自身の内に含まれることが明らかとなった。本来の重力は物質の周囲に起こる。この重力が世界各点の曲率であった。之に反して物質は世界のより高次の曲歪として理解される*。かくてニュートンの力学的法則によって与えられる力学的内容は、凡て全くこの世界の内に含まれたものとして解釈されることが出来る。
* Eddington, Space, Time and Gravitation, 19p 参照。【戸坂潤文庫 科学方法論 科学的世界、科学の学問性】
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空中曲芸サーカス

561
▼勿論床に衝突した際に、把手ハンドルが発射された位置に変ったのだろうけれど、元来把手ハンドルに依る発射ではなく、また、ラミイの変質した粉末も、遂に弦の中から流れる事がなかったのだ。ああクリヴォフ――あのコーカサス猶太人ジュウは、たしかグリーン家のアダの故智を学んだのだ。然し、最初は恐らく、脊中椅子バルダシンに当てる位の所だったろう。所が、その結果偶然にも、あの空中曲芸サーカスを生んでしまったのだ。561p
■circus 曲馬。曲芸。多くの動物を使って、曲芸・軽業かるわざなどを興行しながら各地を巡業する旅芸人の団体。曲馬団。曲芸団。【広辞苑】

スーラ 「サーカス」

苦行者

535
▼「フム、最初射損じても、テオドリッヒには二の矢に等しい短剣があったのです。だが然しだ、儂は、苦行者でも殉教者でもない。寧ろそう云う浄罪輪廻の思想は、儂にではなくファウスト博士に云って貰いたいものだ」535p

苦行僧

334
▼「いや、シュトラウスの交響楽詩シンフォニック・ポエムでもないのさ。それが、陰陽ゾロアスター教(ツァラツストラが創始せる波斯の苦行宗教)の呪法綱領なんだよ。神格よりうけたる光は、その源の神をも斃す事あらん――と云ってね。勿論その呪文の目的は、接神せっしんの法悦を狙っている。つまり、飢餓入神を行う際に、その論法を続けると、苦行僧に幻覚の統一が起って来ると云うのだ」334p
■神仏に奉仕するために肉体的欲望と物質的生活とを抑制する修行。瞑想・断食・不眠などの方法がある。堪えがたいほどの苦しい修行をすること。【広辞苑】

鎖帷子くさりかたびら

328
▼「もう角笛や鎖帷子くさりかたびらは、先刻の人殺し鍛冶屋ヴェンヴェヌート・チェリニで終りかと思ったがね」328p
■帷子に鎖を綴じつけた略式の防御具。鎧の下や衣服の下に着込む。戦国時代の創製。きこみ。【広辞苑】

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『孔雀王呪経じゅきょう』

389
▼倫敦亜細亜協会の『孔雀王呪経じゅきょう』初版389p
★孔雀明王の呪法
蛇の天敵の孔雀を神格化したもの。ヒンズー教の影響を受けた仏教が、西暦四年、五年ごろから経典に纏められた。
「明」というのは中国では呪文のことを言ったので、明の王、孔雀明王を最も強力な呪文の王ということだ。そこで孔雀明王の呪文(陀羅尼)はやがて密教陀羅尼のなかで最も重んじられた。
わが国では平安時代にこの修法が盛んに行われ、しかも東大寺の長者(京都東寺の住職)と仁和寺宮(皇族出身この寺の住職) しか使うことが出来なかったという真言密教の重要な修法であった。空海は日本密教の父であるが、『孔雀王呪経』を「鎮護国家の妙典」と賞賛した。天変地異を沈め、雨乞いと長雨の止む事を祈り、病魔の退散安産を祈るなど様々なことに使われた。
一つの書によると、水分(みずまり)の神である蛇を統制するものとして、平安時代の修験者や密教者によって『孔雀王呪経』は使われていたのである。この呪に寄る祈雨、止雨は小角よりもはるか後代の九世紀から始まっている。ちなみに当時は「孔雀王」と呼んでいた。この呪法によって龍をも動かすことができたという。

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具足

217,306,307,308,309,310,311,419,557,645
▼「ハイ、手入れは全部この男がやって居りまして、時折具足の知識を自慢気に振り廻す事が御座いますので」310p
■甲胄。特に、当世具足の略。【広辞苑】

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刳り込みの天井

478
▼「ああ、あの方に御用がおありなのでしょうか。それでしたら、鍵盤のある刳り込みの天井には、冬眠している蝙蝠がぶら下って居りました。また、大きな白い蛾が、まだ一、二匹生き残っていたのも知って居りますわ。ですから、冬眠動物の応光性さえ御承知でいらっしやいますのなら……。そうして光さえお向けになれば、あの動物共はその方へ顔を向けて、何もかも喋って呉れるでしょうからね。それとも、この事件の公式通りに、それが算哲様だった――とでも申し上げましょうか」478p

『黒夜珠吠陀クルスナ・ヤジュル・ヴェイダ』

389→クリシュナ・ヤジュル・ヴェーダ【教養文庫解題487】
▼ブレームフィールドの『黒夜珠吠陀クルスナ・ヤジュル・ヴェイダ』389p
■クリシュナKrsna 梵ヒンドゥー教の神格。半神半人的な英雄。のち、ヴィシュヌと一体視される。【広辞苑】
■ヴェーダVeda 梵・吠陀(明・文・知などと訳す)インド最古の宗教文献。バラモン教の根本聖典。インドの宗教・哲学・文学の源流をなすもので、その起原は前10数世紀頃インドの西北方に移住したアーリア族が偉大な自然現象を讃美して歌った抒情詩に発し、以来1千年の間に成立。最古のリグ(Rg)、それに次ぐサーマ(Sama)・ヤジュル(Yajur)および異系統のアタルヴァ(Atharva) を四ヴェーダという。韋陀。【広辞苑】

胡桃くるみ

219,354,356,・の殻592
▼床の中央には、大魚の腹中にある約拿ヨナを図案化したコプト織の敷物が敷かれ、その部分の床は、色大理石と櫨なぜの木片を交互に組んだ車輪模様の切嵌モザイク。其処を挟んで、両辺の床から壁にかけ胡桃くるみと?(木+解)かしわの切組みになっていて、その所々に象嵌ぞうがんを鏤ちりばめられ*、渋い中世風の色沢しきたくが放たれていた。
■材は種々の器材に用い、樹皮・果皮は染料とし、種子は薬用または食用、また、油を搾る。【広辞苑】

鉄くろがねの処女

234
★「まるで騎士埴輪ゴーレムか鉄くろがねの処女としか思われんね、これがコペツキーの作品だと云うそうだが、さあプラーグと云うよりも、体躯の線は、バーデンバーデンのハンスヴルスト(独逸の操人形)に近いね。この簡素な線には、他の人形には求められない無量の神秘がある。算哲博士が本格的な人形師に頼まないで、これを大きな操人形マリオネットに作ったのは、如何にもあの人らしい趣味だと思うよ」234p

★ちなみに、「鉄の処女」は別名を「シュトラスブルクの許嫁」または「ニュールンベルクの許嫁」と称し、十六世紀に用いられた残虐な一種の刑具である。全体が鋼鉄製のマントを着た女の人形の形をしていて、人形の胸が観音開きのように二つに割れると、内部が空洞になっており、左右に開いた扉には、鋭利な太い針が何本となく生え揃っている。だから、その中に罪人を閉じこめ、扉をしめると、人形の体内にいる罪人は、鋭い刃に突き刺され、圧搾機にかけられたように血をしぼり取られて、苦悶の末に絶命しなければならない。人形の顔は、おおむね古拙な威厳を保って、無表情を守っているが、なかにはボタンを押すと、機械仕掛で口がひらき、曖昧な、残忍な微笑を泛べる「鉄の処女」もあった。
【夢の宇宙誌 澁澤龍彦 河出文庫 s59/63】

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黒毛三枚鹿角立しかつのだち

216,394
▼その黒毛三枚鹿角立しかつのだちの兜を頂いた緋縅錣ひおどししころの鎧に、何の奇異ふしぎがあるのであろうか。検事は半ば呆れ顔に反問した。
「兜が取り換えられているんだ」と法水は事務的な口調で、「向う側にあるのは全部吊具足(宙吊りにしたもの)だが、二番目の滑革胴なめしがわどうの安鎧に載っているのは、錣を見れば判るだろう。あれは、位置の高い若武者が冠る獅子噛台星前立脇細鍬ししがみだいほしまえたてわきほそくわという兜なんだ。また、此方こっちの方は、黒毛の鹿角立と云う猛悪なものが、優雅な緋縅ひおどしの上に載ってい。ねえ支倉君、すベて不調和なものには、邪よこしまな意志が潜んでいるとか云うぜ」216-7p

鍬形くわがた五枚立の兜

300,311
▼その一つは、萌黄匂もえぎにおいの鎧で、それに鍬形くわがた五枚立の兜を載せた外、毘沙門篠びしゃもんしのの両臂罩りょうこて、小袴こばかま、脛当すねあて、鞠沓まりぐつまでもつけた本格の武者装束。面部めんぶから咽喉いんこうにかけての所は、咽輪のどわと黒漆くろの猛悪な相をした面当めんぼうで隠されてあった。300p

薫烟くんえん

622
▼それは、聖テレザにも乳香入神などと云われているんだが、薫烟や蒸気の幕を透して見ると、凹凸が一層鮮かになり、またその残像が、時折奇怪な像を作る事があるのだ。622p
■たきもののよい香りの煙。【広辞苑】

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