し04 贖罪符>>>心像鏡

贖罪符198
燭台577,598,大・292
飾弁家240→フォイエルバッハ
書庫338,380,600,647,降矢木の・336,339,旧もとの・344
書斎197,416,417,511,・造515,君特有の書斎的錯乱439→法水(登場人物索引)
書室515,532,・家具336,・の扉636,・造り336→十八世紀維納クンメルスブリュケル風
処女・の憧憬234→テレーズの人形,・宮457,458→ヴィルゴ,鉄くろがねの・234,薄倖の・635,・は壺に……エンド・メイド・ターンド……362,398 →「髪盗み」レープ・オブ・ゼ・ロック
処女受胎の図240,『処女受胎の図』394
尻軽・女508,・娘507
死霊343,350,・集会355→シェオール
屍蝋411→シャヴィエル上人
白羽のボア479→ボア
白蚯蚓しろみみず数十万の581
神意審問244,・の会244,266,・の記憶253,・法277
神意審問会269,277,335,345,346,347,408,432,435,438,468,469,515,610,617,619,622,625,629,643
神格よりうけたる光は334→陰陽ゾロアスター教
新教徒222,409,429  プロテスタント→448
心筋質肥大262
神経201,211,228,238,290,299,318,358,359,392,399,412,424,471,531,603,604・的な手附き229,・的なもの241,514,的に263,364,377,466,508,632,639,・的な云い方343,・的な衝動475,・的な動作491,・的な瞬き554,・繊維343,・の病的作用349,・黙劇392,・運動397,・の排列440,441,蒐集家の216,恐ろしい・248,過敏な・265,運動・320,356,下等・321,異常328,452,中枢・356眼底の・368,感覚外の・376,亢進・385,頸髄・388,分析的・388,過敏・394,493,脆弱な・442末梢・452,微妙な・493,543上膊・533,透視・545,解析・557,迂余曲折的な・557
神経病・学202,心理的・者443,・的なもの444,・発作444,・的天性460,・の治療639
神経運動397→ナアヴァシズム,400,→ナーヴァシズム622,神経作用541→ナーヴァシズム
信仰の弥撒ミサ旗214,・と富貴214,富貴と・212,偶像・370
信仰療法289→クリスチャン・サイエンス
寝室248,364,375,380,453,・の扉468,515,517,534,630
真珠しんじゅ376,455 ・パール455
新十字軍379→アルビ教徒
神筮しんぜい降霊の世界 488
心像鏡383,460,531
寝台204,222,227,228,230,231,243,247,285,309,436,471,472

贖罪符しょくざいふ

198
▼フランチェスコ大公妃カペルロ・ビアンカ殿は、ピサ・メディチ家に於て貴下の胤たねを秘か に生めり。その女児に黒奴ムールの乳母をつけ、刈込垣に待たせ置きたれば受け取られよ─ ─と。余は駭おどろけるも心中覚えある事なれば、その旨を承じて騎士を去らしむ。それより 悔改コンチリサンをなし、贖罪符しょくざいをうけて僧院を去れるも、帰途船中黒奴むーるはゴ アにて死し、嬰児えいじはすぐせと名付けて降矢木の家を創しぬ。されど帰国後吾が心には妄 想散乱し、天主デウス吾れを責むる誘惑テンタサンの障礙しょうげを滅し給えりとも覚えず。198p
■体刑に服する代りに財物を差し出して罪過を許されること。→贖銅。
■atonement 犠牲や代償を捧げることによって罪過をあがなうこと。特に、キリスト教の教義 の1。自らではあがなうことのできない人間の罪を、神の子であり、人となったキリストが十字架 の死によってあがない、神と人との和解を果したとする。【広辞苑】
■贖宥indulgence ローマ‐カトリック教会で、罪の償いを免除すること。その証書を贖宥状とい い、免罪符と通称した。免償。【広辞苑】

関連サイト

燭台

577,598,大・292
▼礼拝堂の中には、褐あかい蒸気の微粒が一杯に立ち罩こめていて、その靄もやのような暗 さの中で、弱い平穏な光線が、何処か鈍い夢のような形で漂うている。その光は聖壇の蝋燭 から来ているのであって、三稜形さんりょうけいをした大燭台の前には乳香が燻たかれ、その 烟けむりと光とは、火箭かせんのように林立している小円柱を沿上へのぼって行って、頭上遥 か扇形に集束されている穹窿きゅうりゅうの辺にまで達していた。292p
■室内照明器具の1。蝋燭を立てて火を点ずる台。多くは持ち運びでき、手に携えるもの、壁 に掛けるものなどもある。燭架。蝋燭台。【広辞苑】

飾弁家

240→フォイエルバッハ
▼「それでは、あの二つの画に君の空論を批判して貰うんだね。どうだい、あの辛辣な聖書観 は。多分、あんな絵が好きらしいフォイエルバッハという男は、君みたいな飾弁家じやなかろう と思うんだ」240p

書庫

338,380,600,647,降矢木の・336,339,旧もとの344
▼それが、黒死館に於いて精神生活の全部を占めるものである事は云う迄もないが、或はこ の書庫の何処かに、底知れない神秘的な事件の、根源をなすものが潜んでいないとも限らな いのである。
■書物を入れておくくら。文庫。【広辞苑】
ストロベリヒルズ図書室

書斎

197,416,417,511,・造515,君特有の書斎的錯乱439→法水(登場人物索引)
▼「ああ、悲しむべき書目ビブリオグラフィーよ――じゃないか、まさに、君特有の書斎的錯乱 なんだろうがね。無論あの驚嘆すべき現象に対しては、児戯に過ぎんよ。どうして、深奥どこの 話か、てんで遊戯的な散策とも云える価値はあるまい。所で君が、もし鐘鳴器カリルロン室の 場面に、精確なト書が附けられないようだったら、もうこれ以上講演レクチュアは止めにして貰 おう」439p
■(個人の家で)読書や書き物をするための部屋。【広辞苑】

書室

515,532,・家具336,・の扉636,・造り336→十八世紀維納クンメルスブリュケル風
▼四方の壁面は、ゴンダルド風の羽目で区切られていて、壁面の上層には囲繞式いにょうしき の採光層クリアストーリーが作られ、そこに並んでいる、イオニア式の女像柱カリアティデが、 天井の迫持せりもちを頭上で支えている。そして、採光層クリアストーリーから入る光線は、 「ダナエの金雨受胎きんうじゅたい」を黙示録の二十四人長老で囲んでいる天井画に、何とも 云えぬ神々こうごうしい生動を与えているのだった。なお床に、チュィルレー式の組字をつけた 書室家具が置かれてある所と云い、また全体の基調色として、乳白大理石と焦褐色ヴァンダイ クブラウンの対比を択えらんだ所と云い、その総てが、到底日本に於ては片影すら望む事の 出来ない、十八世紀維納クムベルスブリュケル風の書室造りだったのである。336p
■書斎。【広辞苑】

関連サイト

処女

・の憧憬234→テレーズの人形,・宮457,458→ヴィルゴ,鉄くろがねの・234,薄倖の・635
・は壺に……エンド・メイド・ターンド……362,398→「髪盗み」レープ・オブ・ゼ・ロック
▼テレーズの人形は身長五尺五、六寸ばかりの蝋着せ人形で、格檣型の層襞そうへきを附け た青藍色のスカートに、これも同じ色の上衣フロックを附けていた。像面からうける感しは、愛く るしいと云うよりも、寧ろ異端的な美しさだった。半月形をしたルーベンス眉や、唇の両端が釣 り上った所謂覆舟口ふくしゅうこうなどと云うのは、元来淫みだらな形かたとされている。けれど も、妙にこの像面では鼻の円まるみと調和していて、それが、蕩とろけ去るような処女の憧憬 を現わしていた。234p
■(「家に処イる女」の意) 未婚の女。まだ男性に接しない女性。きむすめ。【広辞苑】

処女受胎の図

240,『処女受胎の図』394
▼右側のは処女受胎の図で、如何にも貧血的な相をした聖母マリヤが左端に立ち、右方に は旧約聖書の聖人達が集っていて、それがみな掌で両眼を覆い、その間に立ったエホバが、 性慾的な眼でじいっと聖母マリヤを瞶みつめている。240p
■聖母マリアが処女のままイエスを受胎したこと。【広辞苑】

尻軽

・女508,・娘507
▼「たしか文中にある尻軽女と云うのは、テレーズの事を指して云うのだろう。すると、テレーズ・ 算哲・ディグスビイ――とこの三角恋愛関係の帰結は、当然、カインの輩の中に鎖じ込められ ――の一句で瞭然たるものになってしまう。そして、ディグスビイはまず、此の館に難問を提出 し、そうしてから、その錯綜ジグザグの結び目の中で、嘲笑せせらわらっているのだ」508p
■身軽なこと。動作が機敏なこと。落着きがなく、言語動作の軽々しいこと。女の、浮気なこと。【広 辞苑】

死霊

343,350, ・集会355→シェオール
▼「事実全く、クォーダー侯のマクベス様(四人の妖婆の科白)――とでも云いたい所なんだ よ。どうして彼奴あいつが死霊でもなければ、法水君が見当を附けたものを、それ以前に隠す 事なんて出来るものじやない」
■死者の霊魂。また、人にとりついて祟りをする怨霊。【広辞苑】

屍蝋

411→シャヴィエル上人
▼「ああ、そうでしたね。確か上川サンシャン島(広東省の揚子江畔)で死んだシャヴィエル上 人は、美しい屍蝋になっていたのでした。成程、その腸丸と遺物シリケ筺とが、童子人形の右 腕になっているのですか」411p
■蝋化した死体。死体が長時間、水中または湿地中にあった場合、脂肪が分解して脂肪酸と なり、水中のカルシウムやマグネシウムと結合して石鹸様になったもの。屍脂。【広辞苑】

白羽のボア

479→ボア
▼「お構いなく続けて下さい。元来僕は、シェレイの妻君(メリー・ゴドウィン――詩人シェレイの 後妻「フランケンシュタイン」の作者)みたいな作品は大嫌いなのです。ああ云う内臓の分泌を 促すような感覚には、もう飽き飽きしているのですからね。所で、その白羽のボアが揺いだの は?それが鐘鳴器カリルロン室のどんな場面で、貴女あなたに風を送りましたね」479p

白蚯蚓しろみみず

数十万の581
▼そこの床上一面には、数十万の白蚯蚓しろみみずを放ったかと思われるような、細い短い 曲線が無数にのたうち交錯していて、それが積り重なった埃の上で、地の灰色を圧していて、 清冽な――然し見ように依っては、妙に薄気味悪く粘液的にも思われる白光を放っているのだ った。581p
■ミミズ綱(貧毛類)の環形動物の総称。特にフツウミミズをいう。釣餌、また生薬としても用いる。 赤竜せきりょく。【広辞苑】

神意審問

244,・の会244,266,・の記憶253,・法277
▼「その空気が、今月に入って酷ひどくなったと云うのは」
「マア、私がスウェーデンボルクかジョン・ウェスレイ(メソジスト教会の創立者)でもあるのでし たら」と鎮子は皮肉に云って、「ダンネベルグ様は、そう云う悪気のようなものから、何とかして 遁のがれたいと、どれほど心をお砕くだきになったか判りません。そして、その結果があの方 の御指導で、昨夜の神意審問の会となって現われたので御座います」244p
■神のこころ。神の意志。神慮。【広辞苑】

神意審問会

269,277,335,345,346,347,408,432,435,438,468,469,515,610,617,619,622,625,629,643

神格よりうけたる光は

334→陰陽ゾロアスター教
▼「いや、シュトラウスの交響楽詩シンフォニック・ポエムでもないのさ。それが、陰陽教ゾロア スター(ツァラツストラが創始せる波斯の苦行宗教)の呪法綱領なんだよ。神格よりうけたる光 は、その源の神をも斃たおす事あらん――と云ってね。勿論その呪文の目的は、接神せっし んの法悦を狙っている。つまり、飢餓入神を行う際に、その論法を続けると、苦行僧に幻覚の 統一が起って来ると云うのだ」334p
■神の格式。神としての資格。

関連サイト

新教徒

222,409,429  プロテスタント→448
▼(註)一六三一年瑞典王グスタフス・アドルフスは、独逸新教徒擁護のために、旧教聯盟とプ ロシヤに於いて戦い、ライプチッヒ、レッヒを攻略し、ワルレンシュタインの軍とリュツエルンにて 戦う。戦闘の結果は彼の勝利なりしも、戦後の陣中に於いてオッチリーユが糸を引いた一軽騎 兵のために狙撃せられ、その暗殺者は、ザックス・ローエンベルグ侯のためその場去らずに射 殺せらる。時に、一六三二年十二月六日。429p
■新教を奉ずる人。⇔旧教徒【広辞苑】 Protestant 新教を奉ずるキリスト教徒の一派。新教徒。【広辞苑】
■Protestantism 16世紀の宗教改革に端を発した、キリスト教の諸教義・諸教会の総体。首唱 者はルター・ツウィングリ・カルヴァン。おもな教派は、ドイツ・スカンディナヴィア諸国に行われる ルター主義、フランス・スイス・オランダ・スコットランド・アメリカなどのカルヴァン主義、イギリスの 英国国教主義など。新教。【広辞苑】

関連サイト

心筋質肥大

262
▼「それが特異体質なんです」と法水は昂然と云い放った。「恐らくその中には、心筋質肥大の ようなものや、或は、硬脳膜矢状縫合癒合こうのうまくしじょうほうごうゆごうがないとも限りませ ん。けれども、それが対称的に抽象出来るというのは、つまり人体生理の中にも、自然界の法 則が循環しているからなんです。現に体質液ハーネマン学派は、生理現象を熱力学の範囲に 導入しようとしています。ですから、無機物に過ぎない算哲博士に不思議な力を与えたり、人形 に遠感的テレパシックな性能を想像させるようなものは、つまるところ、犯人の狡猾な擾乱じょ うらん策に過ぎんのですよ。多分この図の死者の船などにも、時間の進行と云う以外の意味は ないでしょう」262p
■心臓の壁を構成する筋肉。横紋筋であるが、不随意筋である。
■【心筋炎】心筋の炎症。ジフ テリアなどの伝染病、ウイルス感染、リウマチなどに引き続いて起るほか特発性のものもあ る。心臓が肥大し脈搏が不整となり、心不全を起す。【広辞苑】

神経

201,211,228,238,290,299,318,358,359,392,399,412,424,471,531,603,604
・的な手附き229,・的なもの241,514,的に263,364,377,466,508,632,639,・的な云い方343,
・的な衝動475,・的な動作491,・的な瞬き554,・繊維343,・の病的作用349,・黙劇392,・運動397,
・の排列440,441, 蒐集家の216,恐ろしい・248,過敏な・265,運動・320,356,下等・321,異常328,452,中枢・356
眼底の・368,感覚外の・376,亢進・385,頸髄・388,分析的・388,過敏・394,493,脆弱な・442
末梢・452,微妙な・493,543上膊・533,透視・545,解析・557,迂余曲折的な・557
■(zenuw 蘭の訳語として、杉田玄白が「解体新書」で初めて用いた語。「神気」「経脈」から 造語)
■中枢の興奮を体の各部に伝導し、または体の各部からの刺激を中枢に伝導する経路。神経細 胞と神経線維から成る。中枢神経と末梢神経から成り、狭義には末梢の神経線維束を指す。 【広辞苑】

神経病

・学202,心理的・者443,・的なもの444,・発作444,・的天性460,・の治療剤639
▼帰国後の算哲博士は、日本の大学からも神経病学と薬理学とで二つの学位をうけたのだ が、教授生活には入らず、黙々として隠遁的な独身生活を初めたものだ。202p
▼黒死館の人々は、恐らくその程度こそ違うだろうが、厳密な意味で心理的神経病者たらざる はない――と443p
■神經系統の疾病、神經を惱まし妄念に苦しむ病氣。【廣辭林】
■[神経症] 心理的な原因によって起る精神の機能障害。器質的病変はなく人格の崩壊もな い。病感が強く、不安神経症・心気神経症・強迫神経症・離人神経症・抑鬱神経症・神経衰弱・ ヒステリーなど種々の病型がある。ノイローゼ。【広辞苑】

★真景累ヶ淵《しんけいかさねがふち》三遊亭圓朝
   鈴木行三校訂編纂/引用者による一部訂正あり
 今日こんにちより怪談のお話を申上げまするが、怪談ばなしと申すは近来大きに廃すたりま して、余り寄席《せき》で致す者もございません、と申すものは、幽霊と云うものは無い、全く神 経病だと云うことになりましたから、怪談は開化先生方はお嫌いなさる事でございます。それ故 に久しく廃って居りましたが、今日になって見ると、却かえって古めかしい方が、耳新しい様に 思われます。これはもとより信じてお聞き遊ばす事ではございませんから、あるいは流りゅう違 いの怪談ばなしがよかろうと云うお勧めにつきまして、名題を真景累ヶ淵と申し、下総国しもふ さのくに羽生村はにゅうむらと申す処の、累かさねの後日のお話でございまするが、これは幽 霊が引続いて出まする、気味のわるいお話でございます。
なれども是はその昔、幽霊というものが有ると私共わたくしどもも存じておりましたから、何か 不意に怪しい物を見ると、おゝ怖い、変な物、ありゃア幽霊じゃアないかと驚きましたが、只今 では幽霊がないものと諦めましたから、頓とんと怖い事はございません。狐にばかされるという 事は有る訳のものでないから、神経病、又天狗に攫さらわれるという事も無いからやっぱり神 経病と申して、何なんでも怖いものは皆神経病におっつけてしまいますが、現在開ひらけたえ らい方で、幽霊は必ず無いものと定めても、鼻の先へ怪しいものが出ればアッと云って臀餅し りもちをつくのは、やっぱり神経が些ちと怪しいのでございましょう。
(中略)
是が即ち神経病と云って、自分の幽霊を脊負しょって居いるような事を致します。例えば彼奴 あいつを殺した時に斯こういう顔付をして睨にらんだが、若もしや己おれを怨うらんで居やアし ないか、と云う事が一つ胸に有って胸に幽霊をこしらえたら、何を見ても絶えず怪しい姿に見え ます。
関連サイト

神経運動

397 →ナアヴァシズム,400,→ナーヴァシズム622, 神経作用541→ナーヴァシズム

信仰

・の弥撒ミサ旗214,・と富貴214,富貴と・212,偶像・370
▼「Mass(弥撒ミサ)とAcre(英町エーカー)だよ。続けて読んで見給え。信仰と富貴が、 Massacreマッサカー──虐殺に化けてしまうぜ」214p
■(古くはシンゴウとも) 信じたっとぶこと。宗教活動の意識的側面をいい、神聖なもの(絶対 者・神をも含む)に対する畏怖からよりは、親和の情から生ずると考えられ、儀礼と相俟って宗 教の体系を構成し、集団性および共通性を有する。【広辞苑】

信仰療法

289→クリスチャン・サイエンス
関連サイト

寝室

248,364,375,380,453,・の扉468,515,517,534,630
▼伸子の室は、幾分ポンパヅール風に偏した趣味で、桃色ピンクの羽目パネルを金の葡萄蔦 模様で縁取っていて、それは明るい感じのする書斎造だった。そして、左側が細長く造られた 書室に入る通路、右側の桔梗ききょう色した帷幕とばりの蔭が、寝室になっていた。515p
■ねるための室。ねま。【広辞苑】

真珠しんじゅ

376,455 ・パール455
▼けれども、それにはもう一側面の見方もあって、その真珠パールと云う言葉が、古語で白内 障そこひを表わしている事が判ると、右眼の白内障が因もとで舞台を退いた押鐘津多子夫人 が、それに髣髴ほうふつとなって来るのだ。455p
■貝類の体内に形成される球状の塊。貝殻を作る外套膜が異物によって刺激され、そのまわり に真珠質(主として炭酸カルシウムから成り、少量の有機物を含む)の薄層を分泌することによ って作られる。優雅な銀色などの美しい光沢があるものは、古くから装飾品とされた。わが国で はアコヤガイを母貝として養殖し、それに核(真珠の芯になるもの)を入れる手術を施し、人為的 につくる。阿古屋珠。【広辞苑】
■pearl【JSE】

新十字軍

379→アルビ教徒
▼「止むを得ません。どうせ貴方がたは、この虐殺史を統計的な数字としかお考えにならない のですからね。いいえ、結局私達の運命は、アルビ教徒註(一)か、ウェトリヤンカ郡民註(二)のそれに異らないかも知れません。ですけど、もし対策が出来るものなら……ああ、それが出 来るのでしたら、今後は、私達だけでする事に致しますわ」註(一)アルビ教徒――南フランス、 アルビに起りし新宗教、摩尼教の影響をうけて、新約聖書の凡てを否定したるに依って、法王 インノセント三世の主唱に依る新十字軍のために、一二○九年より一二二九年まで約四十七万人の死者を生ずるにいたれり。379p
■13世紀初頭アルビジョア Albigeois 派異端討伐のため,フランス南部トゥールーズ伯領に進 攻した十字軍。アルビジョア派とは,カタリ派異端の地方的呼称である。1145年聖ベルナール の巡回以来,ドミニコ会の登場まで教会の異端対策はシトー会が指導した。1208年教皇使節 がトゥールーズ伯の家臣に殺害されると,教皇インノケンティウス3世は十字軍を宣布した。【大百科】

関連サイト

神筮しんぜい

降霊の世界 488
▼「解決――莫迦を云い給え。僕はもう、辞表を出す気力さえなくなっているんだぜ。多分最初 から、ト書に指定してあるんだろう。第二幕までは地上の場面で、三幕以後は神筮しんぜい降 霊の世界だ――とでも」488p
■筮 めどぎで占うこと。うらない。
★占いとは、太初、甲骨文字の時代、神にきく、ということでした。
きく、とは無私の心で神の声を、そのささやきを、そのサインを感じ取り、受容することでした。
神筮でした。
純粋なサイン、記号の純粋な受容です。
ギリシャの運命の神モイラ(Moira) も、神の分け前、という意味です。
人間は運命を自分勝手に、また能力や希望などで変えることのできないもの、そういうことは許されないこととされていた。
ラテン語ではファツム(Fatum)といい、神々の判決、という意味です。
占いとは運の神にきき、そのサインを純粋に無私に受容する神筮でした。
後代になり、中国で、文字にあらわされ、文字の意味と記号の意味が付加され、人生指針の書となったのが「易経」となりました。
易とは陰陽八卦を組み合せて運命論を展開する一種の自然哲学と実践理論でした。
その経典が易経です。
神代の昔から、人間はこの世にある、ありとあらゆるものたちの不思議なつながりとそのしるし に驚き、その神秘のカギを解こうといどんできました。
関連サイト

★ここには神筮があるというので、ちょっと楽しみにしていた。手のひらサイズの柿の種みた いな形のもので、色は赤(おめでたい色)。片面が膨らんでいてもう片面がぺったんこ。これを 二つ持って、地面に投げる。膨らんでいるのとぺったんこのとばらばらに出たら、願いが叶うと いう。どちらも平だったり、でっぱりだったりしたら駄目。一応、3回までやりなおしがきく。
 で、わくわくしながらやったのだが、3回とも表裏が出て、願いは叶うらしい。うひひ。サイコロ の目を操るとまでいわれた私に、木片を思いどうりに出すくらい造作もない。
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心像鏡

383,460,531
▼「不在証明アリバイ、採証、検出――もうそんなものは、維納ウィンナ第四学派以後の捜査 法では意味はない。心理分析プシヒョアナリーゼだ。犯人の神経病的天性を探る事と、その狂 言の世界を一つの心像鏡として観察する――その二点に尽きる。ねえ支倉君、心像ゼーレは 広い一つの国じやないか。それは混沌ダス・ヒャオスでもあり、またほんの作りものヌール・キ ュインストリヘエスでもあるのだ」460p
▼僕は事件の関係者を映す心像鏡として、実は詩を用いました。そして、数多の象徴を打ち撒 けて置いたのです。つまり、それに合した符号なり照応なりを、徴候的に解釈して、それで心の 奥底を知ろうとしました。531p
■過去の経験にもとづいて意識の中に思い浮べた像で、現実の刺激なしに起るが、感覚的性 質をもつもの。視覚心像・聴覚心像の類。表象。心象。イメージ。【広辞苑】

寝台

204,222,227,228,230,231,243,247,285,309,436,471,472
▼法水は此の時ほど、寝台を仔細に眺めた事はなかった。
 天蓋を支えている四本の柱の上には、松毬形まつかさがたをした頂花たてばなが冠彫かし らぼりになっていて、その下から全部にかけては、物凄い程克明な刀の跡を見せた、十五世 紀ヴェネチアの三十櫓楼船ブセンタールが浮彫になっていた。そして、その舳の中央には、首 のない「ブランデンブルグの荒鷲」が、極風に逆らって翼を拡げているのだった。そう云う、一 見史文模様めいた奇妙な配合とりあわせが、この桃花木マホガニーの寝台を飾ってる構図だ ったのである。そして、漸く法水が、その断頸鷲だんけいわしの浮彫から顔を離した時だった。 静かに把手ノッブの廻転する音がして、喚ばれた紙谷伸子が入って来た。472p
■寝るために用いる台。ベッド。【広辞苑】

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