い01 言い損いの表明>>>印度大麻

言い損いの表明644→フロイド
硫黄282,572,616
籬いけがき,まがき348,484,636, ・状210, ・刈り348
石火矢いしびや424
水松いちい210
無花果いちじく354,355
糸杉いとすぎ210,354,355
囲繞式いにょうしきの採光層336→クリアストーリー
馬蓼いぬたで553
犬の如く己れの吐きたるものに帰り来る247→ペテロの言
水蝋木犀いぼたのき354,356
文身いれずみ222,223
美斑いれぼくろ627
色は黄なる秋634,643→ケルネルの詩
326,628
韻学328
韻律361,397,397,399,希臘ギリシャ式量的・法397,・法398
陰画251,614,638
隠顕扉いんけんとびら289, ・ドア329,380,426,431
隠顕扉いんけんドアー装置426
印呪451, ・は完全に引いてないよ426
印度大麻612→ストラモニヒナス

言い損いの表明

644→フロイド
▼所謂いわゆるフロイドの云う――言い損いの表明にこびりついている感覚的痕跡――に相違ないのだ。644p

★フロイトは、人間の錯誤行為―たとえば何かを言おうとして言おうとしていたこととは違った言葉を口にする「言い違い」など―のなかには無意識的な意図・欲望が隠されていることを指摘している。
この錯誤行為には3つの系列があるという.第1の系列は,先の「言い違い」(Versprechen)のほかにも「書き違い」(Verschreiben)「読み違い」(Verlesen)「聞き違い」(Verhoeren)などがある。第2の系列として、「忘れる」(Vergessen)ことが根底にあるが永久に忘れるのではなく、一時的に忘れる場合、例えばいつもはよく覚えているはずの人名が思い出せなかったり、後になってすぐに思い出すのだがある計画を実行するのを忘れるといったものがある。第3の系列として、何か物をどこかにしまってそれを思い出せない「置き忘れ」(Verlegen)、これと類似した「紛失」(Verlieren)がある。
フロイトは錯誤行為に対してどこから見ても正常な状態になる人にも日常的に起こりうることから、原因を「抑圧された意図」に見た。たとえば、言い違いにおいて言い違えた結果発せられる言葉には、実際に発せられた言葉以外にも可能性としてはいろいろな言葉が考えられはずであり、結果なぜその言葉でなければならなかったかが重要となる。
意図された言葉とは逆の言葉を口にした場合を考える時、フロイトは以下のような例を挙げている。すなわち、ある議長が開会の挨拶に「議会の閉会を宣します」と言った例である。この言い違いの意図は明らかで、議長は議会を早く閉じてしまいたいと思っていたからこのような言い違いをしたのである。
このように錯誤行為のような現象にも、現象の起こった意識の上には現れない無意識下の「原因」がある。

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硫黄

282,572,616
▼「ところで田郷さん、S一字でどう云うものが表わされているでしょうか」と法水は、調子を弛ゆるめずに続けた。「第一に太陽、それから硫黄いおうですよ。ところが、水銀と硫黄との化合物は、朱ではありませんか。朱は太陽であり、また血の色です。つまり、扉の際で算哲の心臓が綻ほころびたのです」 282p

■(ユワウの転。古くはユノアワ ・ユワとも)(sulfur)非金属元素のひとつ。元素記号S 原子番号16。原子量32.07。黄色の樹脂光沢あるもろい結晶で、水には溶けない。火を点ずれば青い炎をあげて燃える。遊離して火山地方に多く産し、化合物としては硫化鉄 ・硫化銀 ・硫化銅 ・硫化水銀などの硫化物として産出。火薬 ・マッチ ・ゴムの製造、薬用 ・漂白用などに使用。【広辞苑】

様々なsulfur symbol
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籬いけがき,まがき

348,484,636, ・状210, ・刈り348
▼それに、クリヴォフ様が吊された武具室の窓だっても、恰度あの辺だけが、美男桂の籬いけがきに遮られているのです。 484p

■生垣・生籬 樹木を植えならべて造った垣。【広辞苑】
■籬 竹・柴などを粗く編んでつくった垣。ませ。ませがき。【広辞苑】

石火矢いしびや

424
▼ああ、今度は火精サラマンダーか!?すると、拳銃ピストルか石火矢いしびやかい。それとも、古臭いスナイドル銃か四十二磅ポンド砲でも向けようと云う寸法かね 424p
■石火矢 ・石火箭 石片また鉄 ・鉛などを発射し、攻城戦に用いた弩オオユミ。【広辞苑】

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水松いちい

210
▼本館は水松いちいの刈込垣で繞らされ、壁廓の四周まわりには、様々の動物の形や頭文字を籬状まがきがたに刈り込んだ、栂つげや糸杉の象徴樹トピアリーが並んでいた。 210p

■古来、飛騨国位山クライヤマ産のものは笏の材料として有名。庭樹 ・生垣などにも利用。スダオノキ。アララギ。オンコ(アイヌ語)。紫松
■yew [英]しばしば墓地に植えられ,死者と連想される。【JSE】
■葉にタキシンというアルカロイドが含まれる毒の木。【毒薬265p】

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無花果いちじく

354,355
■中世ペルシア語 anjir の中国での音訳語「映日果(インジークォ)」がさらに転音したもの) 西アジア原産のクワ科の落葉小高木。またその果実。葉は三裂掌状、茎・葉を切ると乳状の汁を出す。初夏、花軸の肥大成長した花嚢を葉腋に出し、内面に無数の花をつける。雌雄異花、同一花嚢中に生ずる。食べる部分は実際は花托である。葉は薬用。果実は乾して緩下剤。乳汁は痔の塗布薬、また服用すれば回虫駆除の効がある。ザクロ・ブドウとならび、世界的に最も古い果樹のひとつ。唐柿トウガキ。【広辞苑】

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糸杉いとすぎ

210,354,355
■地中海東部からイラン北部に自生するヒノキ科の針葉樹。サイプレス属の代表。樹形は細長い円柱状。欧州では死の象徴とされ、庭園のほか墓地に植える。イタリアン・サイプレス。【広辞苑】

Arnold Bocklin "Insel der Toten"(1886) 【死の島】ベックリン
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囲繞式いにょうしきの採光層

336→クリアストーリー
▼四方の壁面は、ゴンダルド風の羽目パネルで区切られていて、壁面の上層には囲繞式いにょうしきの採光層クリアストーリーが作られ、そこに並んでいる、イオニア式の女像柱カリアティデが、天井の迫持せりもちを頭上で支えている。336p

■clearstory 明アカリ層【英和建築】
■clerestory (ゴシック風建築の大寺院などの)明かり層、高窓。(工場などの側壁,鉄道車両の屋根の)通風採光窓。【JSE】
Clerestory
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馬蓼いぬたで

553
▼然し、間もなく灯の中へ、一寸馬蓼いぬたでに似た、見なれない形の葉が現われて、それを法水はヤポランジイだと云った。553p

■犬蓼タデ科の一年草。山野に普通で、高さ約30センチメートル。葉の基部に鞘状の托葉があって茎を囲む。夏から秋、葉腋及び頂端に紫紅色の小花が穂状をなす。アカマンマ。アカノマンマ。【広辞苑】
■犬蓼・馬蓼 おにたで【廣辭林】

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犬の如く己れの吐きたるものに帰り来る

247→ペテロの言
▼「そうすれば、その六人の者が、犬の如く己れの吐きたるものに帰り来る──とでもお考えなのですか」と鎮子はペテロの言を籍かりて、痛烈に酬い返した。 247p

■002:022
But it is happened unto them according to the true proverb,
The dog is turned to his own vomit again; and the sow that was
washed to her wallowing in the mire.
Book 612 Peter【GPBIBLE】

■犬は自分の吐いたものに戻る。【新約聖書 「ペテロの手紙2」2章第22節】

★「犬が汚物に戻るように、汝らが信仰から異教に戻るからだ」【北の十字軍110p】
 「その不信仰という反吐に戻った恥ずべき犬」【北の十字軍269p】
 『北の十字軍―「ヨーロッパ」の北方拡大』山内 進 著 (講談社選書メチエ1997)

I.A. Fridrich "The Dog is Turned to His Own Vomit Again"

水蝋木犀いぼたのき

354,356
■水蝋樹・疣取木 モクセイ科の落葉低木。山地に自生。枝は細く、5月頃、ギンモクセイに似た芳香ある白い小花の穂をつける。晩秋に黒紫色の核果となる。樹皮上にイボタロウムシがつき、これから「いぼた蝋」を採る。材は緻密で器具の柄などに用い、または薪炭材とする。【広辞苑】
■果実・全草 モクセイ科、九州以北に多く分布する落葉低木。葉をかじると渋みが口中に広がり約12時間その渋みは残る

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文身いれずみ

222,223
▼だが法水君、この奇妙な文身いれずみの様な創紋そうもんはどうして作られたのだろうか?これこそ、奇を嗜たしなみ変異に耽溺たんできする、君の領域じゃないか。 222p

■肌に文字 ・絵画などをほりつけること。また、そのもの。針や刃状の道具で皮膚を傷つけ、墨・朱・ベンガラ・カルミン・インジゴなどの色料を刺し入れて着色する。先史時代から行われ、日本では近世にも流行。鳶などの職人や遊び人の間に行われた。彫物。我慢。文身。刺青。タトゥー(tattoo)。【広辞苑】

美斑いれぼくろ

627
▼けれども、その箍骨張たがぼねばりの腰衣スカートに美斑いれぼくろとでも云いたい古典的な美しさの蔭には、やはり、脈搏の遅い饒舌を忌み嫌うような、静寂主義者キエティストらしい静けさがあった。 627p
■現代の化粧で、書いたりはりつけたりしたほくろ。入れ黒子【広辞苑】
■beauty spot,beauty mark

18世紀英国patch box (つけぼくろ用)

色は黄なる秋

634,643→ケルネルの詩
▼それが支倉君、あの夜最後に僕が伸子に云った――色は黄なる秋、夜の灯を過ぎれば紅き春の花とならん――と云うケルネルの詩にあるんだよ。643p

326,628
▼つまり、韻のまだ残っているうちにペダルを踏むと、竪琴ハープには唸りが起る――。 628p
■韵 音のひびき。音色。おもむきのあること。風流なさま。(rhyme; rime)音声の諧和美を得るため文中に一定の間隔で同一または類似の音声を用いること、あるいはそれを用いた箇所。【広辞苑】

韻学

328
▼孔子は舜しゅんの韻学の中に、七種の音を発する木柱のあるのを知って茫然となったと云う。328p
■韻学 漢字の音韻を研究する学問。音韻学。

★孔子が愛好したという「七弦琴」のことをこのように書いているのだろうか?
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★「七種の音を発する木柱」については、1922年に焼失した第一ゲーテアヌムに関して興味深い記事がある。
シュタイナー幼児教育手帖4「治療教育におけるライアー」(ユリ・ユリアンス著 高橋弘子訳)の中でライアー誕生の歴史が詳しく紹介されています。ここでは全てご紹介できないのですが、興味深いのは、音楽家のプラハトと彫刻家のゲルトナーとが、1922年、七つの木柱(ブナ・とねりこ・桜・樫・楡・白樺・楓)からできていた第一ゲーテアヌム炎上の折、燃え残った木片からインスピレーションを得て創を練り模索の後、1926年に最初のライアーの音が響いたということです。(引用元

★神秘思想家シュタイナーおよびゲーテアヌムは、黒死館とは現在まで直接の関係を見出すことが出来ていないが、ゲーテは虫太郎に多大な影響を及ぼしていることなどから、関連性があると非常に面白いと思われる。さらに詳細な論考については、こちら

第一ゲーテアヌム内部

韻律

361,397,397,399,希臘ギリシャ式量的・法397,・法398
▼所でバーベージ(エドマンド ・キーン以前の沙翁劇名優)は、沙翁シェークスピアの作中に律語的な部分、即ち希臘ギリシャ式量的韻律法が多いのを指摘していますね。 397p

■詩の音声的な形式。音声の長・短、子音・母音またはアクセントの排列の仕方によってあらわすものと、和歌 ・俳句のように音数の形式から成るものとある。【広辞苑】

陰画

251,614,638
▼「要するに、陰画を見ればいいのさ」と法水はアッサリ云い切った。 251p
■実物と明暗が逆になっている画像。カラー写真の陰画では、更に色彩が被写体の補色となっている。一般の写真の場合、これを印画紙やフィルムに焼き付けて陽画を得る。ネガ。⇔陽画【広辞苑】

隠顕扉いんけんとびら

289, ・ ・ドア329,380,426,431
▼「とにかく、魔法博士デイの隠顕扉いんけんドアがある程だからね。この館にそれ以上、技巧呪術いんけんドアの習作が残されていないとは云えまい。屹度きっと、最初の英人建築技師ディグスビイの設計を改修した所に、算哲のウイチグス呪法精神が罩こもっているに違いないのだ。つまり、一本の柱、貫木たるきにもだよ。それから蛇腹、また廊下の壁面を貫いている素焼テルラコッタの朱線にも、注意を払っていいと思う」 329p

■隠顕(いんけん) 隠れたり見えたりすること
(おんけん)仏語。1 隠れたものと、あらわれたもの。2 浄土真宗で、浄土三部経について、観経と阿弥陀経は外にあらわされたものとしては方便の教えであるが、内にかくされている面では無量寿経の弘願の真実と一致すると説くもの。

★隠顕式とは、主に軍事用に開発された敵の視野から隠すよう用途で使用される。例:隠顕砲(普段は防御壁の内側に隠れ、射撃の際に砲身が持ち上がる)。
★錬金術師デイ博士(John Dee)が虫太郎が述べるような扉を作っていたかは、まだ発見できていない。

隠顕扉いんけんドアー装置

426
▼……あの夜ダンネベルグ夫人が死体となった室の扉ドアーには、鍵孔に注ぎ込んだ水の湿度に依って毛髪が伸縮し、自動的に開閉されるデイ博士の隠顕扉ドアー装置が秘められてあった。 426p

印呪

451, ・は完全に引いてないよ426
▼勿論密教で云う印呪の浄三葉印じょうさんよういん程でなくとも、少なくもロダンの寺院カテドラルには近いのだ。 451p
▼「――とくと見給え。あの印呪は完全に引いてないよ。外側に向いている角が、見る通りに少し開いている」 426p

■密教で、手に結ぶ印と口に唱える真言。【広辞苑】
■手に印を結び口に陀羅尼を唱ふること、かくすれば護法の明王善神近づき守り、助けて其所願を成就せしむといふ。【廣辭林】

印度大麻

612→ストラモニヒナス
▼(原註)後日法水は、ストラモニヒナスが遂に伝説以上のものだったのに、驚いたと云っている。それは、ゲオルヒ ・バルティシュ(十六世紀ケーニヒスブルックの薬学者)の著述の中に記されているのみで、近世になってからは、一八九五年にフィッシュと云って、印度大麻の栽培を奨励した、独領東亜弗利加会社の伝道医師のみ。そして、稀に印度大麻にストリヒナス属(矢毒クラーレの原植物)が寄生すると、その果実を土人が珍重して呪術に用いるけれども、恐らくそれではないか――と云う報告を一つ齋らせたのみである。多分黒死館の薬物室にあった空瓶と云うのも、ディグスビイから、与えられるのを算哲が待っていたからであろう。 612p

■アサから製した麻薬。栽培種の花序からとったものをガンシャ、野生の花序や葉からとったものをマリファナ、雌株の花序と上部の葉から分泌される樹脂を粉にしたものをハシーシュといい、総称して大麻という。喫煙すると多幸感 ・開放感があり幻覚 ・妄想 ・興奮を来す。【広辞苑】【毒薬134p】

★Strophanthus ストロファンツス キョウチクトウ科のつる性低木。東アフリカから熱帯アジアに数種産する。葉は卵形で対生、花は枝先に集散状につき、漏斗状で五裂。種子は有毒のストロファンチンを含み、アフリカでは矢毒として用いられた。また種子を強心薬 G-ストロファンチンの製造原料とする。
大麻
クラーレ
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