か02 鐘>>>橄欖冠

286,305,316,325,326,328,330,349,353,446,聖鐘219,鐘声318,振り鐘286,318,
・の鋳造成分318,・の質量318,・の化物326,チャペル404,409,480,545,548,点鐘409,凶鐘507,508
纈草かのこそう356
かの山と雲の桟道かけじ538→ミニョン
下半身不随278,279→パラプレシア
樺かばの森373,450,451,452→グスタフ・ファルケ
花粉と匂においの海485
216,275,300,303,307,98,310,394,395,396,水牛の角と海豹の附いた北方海賊風の・464,壺・430,・が置き換えられた401,・と幌骨306,307,311
蕪青530,・は犯罪現象530,蕪青ルーベ(rube)541,今は蕪青かぶらの真盛り530
壁燈215,576,六弁形の・かべひ216, 壁灯 六弁形の・395,450,451
毛髪かみのけと鍵の角度に水426
仮面・をつけた六人の楽師207,・が剥がれて449,衒学的ペダンティックな・486,演 劇用・472→マスク
擽痒感覚かゆみ387,388
響尾がらがら蛇・の牙 634
刈込垣198,210
狩猟かりの一隊ひとむれ539
刈り籬まがき348→トピアリー
花柳事情201→酔多道士
花柳病者199
枯芝350,351,353,559,637,638
河鍋暁斎194
寛永寺裏14→算哲
間歇噴気鉱泉脈の・343→エルボーゲン
棺龕十字架432,・カタファルコ十字架348,457
棺室最奥の・590
棺中498,607,・で蘇生393,496,609,・の苦悶609
棺駐門349,・の柱 二本の・353
桿状かんじょうの柄583
乾闇婆大力軍将かんどはばたいりきぐんしょう358
380,・止かんぬきどめ402,468,545,546,起倒・635
鐶かんの軋り鐘を吊した・353
乾板332,334,559,608,610,614,615,616,617,619,621,623,646,既に感光している・332,・などと云う感光物質333,123,・の破片350,351,556,558,559,318,・の微粒352,・盗み647
橄欖冠616,二十八葉・かんらんかん197,223→フィレンツェ市章

286,305,316,325,326,328,330,349,353,446,聖鐘219,鐘声318,振り鐘286,318・の鋳造成分318,・の質量318,・の化物326, チャペル404,409,480,545,548,点鐘409,凶鐘507,508
▼風精――空気と音の妖精――やつは鐘を叩いて逃げてしまったのだ330p
■鐘・鉦  叩いたり撞いたりして鳴らす金属製の器具。《鐘》つりがね。また、その音。 《鉦》小形の、叩いて鳴らす楽器。たたきがね・磬ケイ・鉦鼓シヨウコなど。【広辞苑】

纈草かのこそう

356
■鹿の子草・纈草 オミナエシ科の多年草。オミナエシに似るが異属。 東アジアの温帯に分布し、わが国の山地草原にも自生。5-6月頃、淡紅色の小花を密生。 根茎は生薬の纈草根で、鎮痙剤。ハルオミナエシ。【広辞苑】

かの山と雲の桟道かけじ

538→ミニョン
▼だがレヴェズさん、貴方は斯う云うミニョンを御存知でしょうか。 ――かの山と雲の桟道、騾馬は霧の中に道を求め、窟には年経し竜の族棲む……538p

下半身不随

278,279→パラプレシア
▼ハハア、貴方は下半身不随ですね*。成程、黒死館の凡てが内科的じゃない。

樺かばの森

373,450,451,452→グスタフ・ファルケ,闇でなくては見えぬ・452
▼「そうです。まさに『樺の森ダス・ビルケン・ヴェルドヘン』です。 昨夜この室の前の廊下で、確かに犯人は、その樺の森を見た筈です。然し、かれ夢みぬ、 されど、そを云う能わざりきイーム・トラウムテエル・コンテス・ニヒト・ザーゲン――なんですよ」
■(カニハの転) (桜の)樹皮。 樺の木。特に、シラカバの別称。かんば。【広辞苑】

花粉と匂においの海

485
▼「実は、その――貴女にとって不運なお化が、僕に詩想を作ってくれました。これがもし春ならば、あの辺は花粉と匂の海でしょう。然し、裏枯れた真冬でさえも、あの噴泉と樹皮亭ボルケン・ハウスの自然舞台――それが僕に貴女の不在証明アリバイを認めさせたのです。貴女もクリヴォフ夫人も、あの渡り鳥ワンダー・フォーゲル……虹に依って救われたのですよ」485-6p

216,275,300,303,307,98,310,394,395,396,水牛の角と海豹の附いた北方海賊ヴァイキング風の・464,壺・430,・が置き換えられた401,・と幌骨306,307,311
▼「此処にもある」と云って、左側の据具足すえぐそく(鎧櫃よろいびつの上に据えたもの)の一列のうちで、一番手前にあるのを指差した。その黒毛三枚鹿角立しかつのだちの兜を頂いた緋縅錣ひおどししころの鎧に、何の奇異ふしぎがあるのであろうか。検事は半ば呆れ顔に反問した。
「兜が取り換えられているんだ」と法水は事務的な口調で、「向う側にあるのは全部吊具足(宙吊りにしたもの)だが、二番目の滑革胴なめしがわどうの安鎧に載っているのは、錣を見れば判るだろう。あれは、位置の高い若武者が冠る獅子噛台星前立脇細鍬ししがみだいほしまえたてわきほそくわという兜なんだ。また、此方こっちの方は、黒毛の鹿角立と云う猛悪なものが、優雅な緋縅ひおどしの上に載ってい。ねえ支倉君、すベて不調和なものには、邪よこしまな意志が潜んでいるとか云うぜ」216-7p
▼「ああまた、君の病的精神狂乱かね。とにかく、洒落は止めにして貰おう。壺兜や手砲で事件の解決が付くと云うのだったら、まず、そう云う史上空前の証明法を聴こうじゃないか」430p
■頭部を保護するためのかぶりもの。平安中期以降、鎧の発達とともに盛行した星兜がその代表。頭を入れる所を鉢といい、その背面に垂れて頸部をおおう所を■シコロという。誤って甲ヨロイの字をあてることも多い。首甲。首鎧。【広辞苑】

蕪青

530,・は犯罪現象530,→蕪青ルーベ(rube)541,今は蕪青かぶらの真盛り530
▼「ハハハハ、下らぬ放言は止めにして下さい。法水さん、儂ならあの三叉箭ボールが、裏庭の蔬菜園から放たれたのだと云いますがな。何故なら、今は蕪青かぶらの真盛りですよ。矢筈は蕪青、矢柄は葭よし――と言う鄙歌ひなうたを、多分貴方は御存知でしょうが」
「左様、この事件でもそうです。蕪青は犯罪現象、葭は動機なのです。レヴェズさん、その二つを兼ね具えたものと云えば、まず貴方以外にはないのですよ」と俄にわかに酷烈な調子となって、法水の全身が、メラメラ立ち上る焔ほのおのようなものに包まれてしまった。530p
■かぶ蕪・蕪菁 (一説に「かぶら」の女房詞「おかぶ」から)かぶら。かぶらな。かぶな。【広辞苑】

壁燈

215,576,六弁形の・かべひ216 壁灯 六弁形の・395,450,451
▼勿論、その闇になった瞬間に、それまで不慮にも注意を欠いていた、ロムベルグ徴候が起る 事は云う迄もない。所が、そうして何度か蹌めくにつれて、長方形をした壁灯の残像が幾つとなく網膜の上に重なって行くのだ。ねえ支倉君、此処まで云えば、これ以上を重ねる必要はあるまい。クリヴォフ夫人が漸く身体の位置を立て直したときに、彼女の眼前一帯に拡がっている闇の中で、何が見えたのだろうか。その無数に林立している壁灯の残像と云うのが、外でもな い、ファルケの歌ったあの薄気味悪い樺の森なんだよ。しかも、クリヴォフ夫人は、それを自ら告白しているのだ。450-1p

髪飾り

私の・617,633
▼「その証拠には、演奏が始まる直前でしたけども、旗太郎様が私の髪飾りを御覧になって、一体レヴェズ様のアレキサンドライトをどうして――とお訊ねになったのを憶えて居りますわ」633p
■髪をかざるための装飾品。櫛・簪・笄など。【広辞苑】

毛髪かみのけと鍵の角度に水

426 ▼「ああ成程、毛髪かみのけと鍵の角度に水!これは、博学なる先生に御挨拶申上げます。頗すこぶる汗をかかされたものです哩わい」 426p
★改めて御挨拶をいたします。博識で入らっしゃる。 わたくしに汗をたっぷりお掻かせになりました。
【1325-6ファウスト第一部113p 鴎外全集 翻訳篇第一巻】
★博學なる先生に御挨拶申上げます。随分汗をかかせたものです。【48p 秦豊吉譯 新潮文庫282昭和13年初版】
★文庫版は黒死館刊行後の出版だが、昭和2年に出版された新潮社版世界文学全集第1期「ゲーテ編」に、同氏譯で収録されている。木村直司・今村 武編「アジアにおけるゲーテ受容」を参考にした。
【ファウスト】大正15年 イデア書院刊

仮面

・をつけた六人の楽師207,・が剥がれて449,衒学的ペダンティックな・486,演劇用・472→マスク
■木・土・紙などで種々の顔の形に作り、顔にかぶるもの。宗教儀礼や演劇に用いる。めん。【広辞苑】
■仮面劇 仮面をかぶって行う演劇。古代ギリシア劇や伎楽、わが国の里神楽・能楽の類で、この仮面が特定の役割・性格を表す。【広辞苑】
 【世界美術全集】平凡社

擽痒感覚かゆみ

387,擽痒かゆみ387,388
▼「所で、強烈な擽痒感覚かゆみに、電気刺激と同じ効果があるのを知っているかね。また、痲痺した部分の中央に、知覚のある場所が残ると、そこに劇烈な擽痒かゆみが発生するのも、多分アルルッツの著述などで承知の事と思うよ。所が君は、伸子の頸椎に打僕したような形跡はないと云う。けれども乙骨君、ここに僅たった一つ、失神した人間に反応運動を起させる手段がある。生理上決して固く握れる道理のない手指の運動を、不思議な刺戟で喚起する方法があるのだ。そうしてそれが、ジーグフリード+プラス木の葉――の公式で表わされるのだがね」「成程」と熊城は皮肉に頷いて、「多分その木の葉と云うのが、ドン・キホーテなんだろうよ」
法水は一旦かすかに嘆息したが、尚も気塊きはくを凝らして、神業のような伸子の失神に絶望的な抵抗を試みた。
「マア聴き給え。恐ろしく悪魔的なユーモアなんだから。エーテルを噴霧状にして皮膚に吹きつけると、その部分の感覚が滲透的に脱失してしまう。それを失神した人間の全身に渉わたって行うのだが、手の運動を司どる第七第八頸椎に当る部分だけを、恰度ジーグフリードの木の葉のように残して置くのだ。何故なら、失神中は皮膚の触覚を欠いていても、内部の筋覚や関節感覚、それに、擽痒かゆみの感覚には一番刺戟され易いのだからね。すると、当然その場所に、劇烈な擽痒かゆみが起る。そうしてそれが電気刺戟のように、頸髄神経の目的とする部分を刺戟して、指に無意識運動を起させるに違いないのだ。つまりこの一つで、伸子が如何にして鎧通しを握ったか――と云う点に、根本の公式を掴んだような気がしたのだ。乙骨君、君は故意か内発かと云ったけれども、僕は、故意かエーテルに代る何物かと云いたいんだ。どうして、その本体を突き詰めるまでには、まだまだ繊細微妙な分析的神経が必要なんだよ」387-8p
*かゆみ一つでこの長広舌!
■itching,itchy,itchiness【SSD】

響尾がらがら蛇

・の牙 634
■ヘビの一群の総称。約30種が北米から南米にかけて分布。有毒で、咬まれると致命的なものも多い。体長50-240p。尾端に表皮から変じた数個から10数個の角質の環状物があり、危険が近づくと尾を急激に振って、「じゃあ」或いは「じい」という独得の音を発する。響尾蛇。【広辞苑】

刈込垣

198,210
▼フランチェスコ大公妃カペルロ・ビアンカ殿は、ピサ・メディチ家に於て貴下の胤を秘かに生めり。その女児に黒奴の乳母をつけ、刈込垣に待たせ置きたれば受け取られよ198p
▼本館は水松の刈込垣で繞らされ、壁廓の四周には、様々の動物の形や頭文字を籬状に刈 り込んだ、栂や糸杉の象徴樹が並んでいた。尚、刈込垣の前方には、パルナス群像の噴泉があって、法水が近附くと、突如奇妙な音響を発して水煙を上げ始めた。210p
■刈り込み 発芽前・初夏または落葉後、無用の枝を切り捨てて形を整えること。【広辞苑】
■垣・牆 屋敷や庭園などの外側のかこい。かきね。【広辞苑】

【薔薇物語 嫉妬の城】Medieval Panorama Thames&Hudson刊

狩猟かりの一隊ひとむれ

539
▼狩猟かりの一隊ひとむれが野営を始めるとき
 雲は下り、霧は谷を埋めて
 夜と夕闇と一ときに至る 539p

刈り籬まがき

348→トピアリー
▼そこからは、裏庭の花卉園かきえんや野菜園を隔てて、遠く表徴樹トピアリーの優雅な刈り籬まがきが見渡される。348p
■竹・柴などを粗く編んでつくった垣。ませ。ませがき。【広辞苑】

花柳事情

201→酔多道士
■芸娼妓の社会。花柳の巷。【広辞苑】
★田島象二(酔多道士─「花柳事情」などの著者)
★酔多道士「東京妓情」東生亀治郎 1883
関連サイト

花柳病者

199
▼また、フィリップ三世が 巴里中の癩患者を焚殺したと云う事蹟を聞いて、六代後の落魄したベルトランが、今度は花柳病者に同じ事をやろうとしたそうだ。それを、血系意識から起る帝王性妄想と、シャルコーが定義を附けているんだよ199p
■(花柳界で感染する病の意) 性病。【広辞苑】

枯芝

350,351,353,559,637,638
▼極く最近に、その辺一帯の枯芝を焼いたらしい形跡が残っている事だった。その真黒な焦土こげつちが、昨夜来の降雨のために、じとじと泥濘ぬかるんでいるので、その上には銀色した鞍のような形で、中央の張出間アプスが倒影していた。350p

河鍋暁斎

194
▼けれども、明治十八年建設当初に、河鍋暁斎かわなべぎょうさいや落合芳幾おちあいよしいくをしてこの館の点晴に竜宮の乙姫を描かせた程の綺きらびやかな眩惑は、その後星の移ると共に薄らいでしまった。194p
■(1831-89)幕末・明治前期の画家。放磊落(らいらく)、酒を好んでつねに離さず、また奇行をもって知られる。
1870年(明治3)10月、上野の不忍池弁財天境内の料亭の書画会で、酔いにまかせて描いた戯画が、政府要人を風刺したものだと密告されて3ヵ月間拘留される。放免後、暁斎と改名する。71 年から80年にかけて、仮名垣魯文(かながきろぶん)、服部応賀などの著作の挿絵を盛んに描く。
1874年、魯文と組んで日本で最初の漫画雑誌である《絵新聞日本地(につぽんち)》を創刊。【大百科】

★芳幾については既述。暁斎に関しては洋風建築と竜宮の乙姫の組合せのような不思議な画調の作品は、これ以外では見つけられなかった。

寛永寺裏

14→算哲
■東京都台東区上野公園にある天台宗の寺。山号は東叡山。1625年(寛永2)天海が開山。歴代住持は法親王で、輪王寺門跡を称した。徳川将軍家の菩提所。【広辞苑】
★寛永寺裏と言えば、谷中・根津の大店の隠居が多く暮らすお屋敷町だった。

間歇噴気

鉱泉脈の・343→エルボーゲン
▼(註)一三二七年未だカルルスバード温泉が発見されぬ頃、同地から十哩を隔てたエルボーゲンの町外れに、一つの奇蹟が現われた。それは、廃堂の床に、基督教の表象とされている魚と云う文字が、ものもあろうに希臘語で現われたのだった。然し、それは多分、鉱泉脈の間歇噴気に依るものならんと云われている。343p
■間歇泉 一定の時間を隔てて周期的に熱湯または水蒸気を噴出する温泉。【広辞苑】

棺龕十字架

432,・カタファルコ十字架348,457

棺室

最奥の・590

棺中

498,607,・で蘇生393,496,609,・の苦悶609
▼「ああ、恐らくこれが、ファウスト博士の儀礼パンチリオなんだろうがね。然し熊城君、この文字は乾板で彫ってあるのだよ。父よ、吾も人の子なりパーテル・ホモ・スム――って。それに、歯の間に突っ込まれている、小鳥の骸骨らしいのは、多分早期埋葬防止装置を妨さまたげたと云う、山雀やまがらの死体に違いないのだ。ねえ怖ろしい事じゃないか。つまり、一旦算哲は棺中で蘇生したのだが、その時犯人は、山雀の雛を挟んで電鈴ベルの鳴るのを妨げたのだよ」608-9p
■死者を入れて葬るための箱や桶。ひつぎ。【広辞苑】

棺駐門

349,・の柱 二本の・353

桿状かんじょうの柄

583
▼クリヴォフ夫人の死体は、階段の前方に殆んど丁字形をなして横わっていた。それが俯向あおむきに倒れ、両腕を前方に投げ出していて、背の左側には、槍尖ランス・ヘッドらしい桿状かんじょうの柄が、ニョキリと不気味に突っ立っていた。583p
■枝葉を取り去った竹の幹。船を進めるのに用いる長い棒。 水棹ミサオ。秤竿ハカリザオの略。【広辞苑】

乾闇婆大力軍将かんどはばたいりきぐんしょう

358
★〈げんだつば〉〔原音「ガンダルヴァ」〕【教養文庫解題490】

380,・止かんぬきどめ402,468,545,546,起倒・635
▼(註)法水がグロースと云ったのは、『予審判事要覧』中の犯人職業的習性の章で、アッペルトの『犯罪の秘密』から引いた一例だと思う。以前召使だった靴型工の一犯人が、或る銀行家の一室に忍び入り、その室と寝室との間の扉を鎖さしめないために、予め閂穴の中に巧妙に細工した三稜柱形の木片を挿入して置く。それがために銀行家は、就寝前に鍵を下そうとしても閂が動かないので、既に閉じたものと錯覚を起し、犯人の計画はまんまと成功せしと云う。380p
■門戸をさしかためるための横木。門扉の左右にある金具に差し通して用いる。かんぎ。【広辞苑】

鐶かんの軋り

鐘を吊した・353
▼頭上の格の中から、歯ぎしりのような鐘を吊した鐶かんの軋りが聞え、振動のない鐘を叩く錘舌クラッパーの音が、狂った鳥のような陰惨な叫声きょうせいを発している。353p
■金属製の輪。箪笥の引き手、茶釜の取っ手、蚊帳の四隅の輪など。【広辞苑】

乾板

332,334,559,608,610,614,615,616,617,619,621,623,646,既に感光している・332,・などと云う感光物質333,123,・の破片350,351,556,558,559,318,・の微粒352,・盗み647
■ガラスまたは合成樹脂などの透明な板に写真乳剤を塗布した感光材料。写真乾板。⇔湿板【広辞苑】

★図はペクレルが撮影したウランからの放射線を加工させた写真乾板。
日本アイソトープ協会仮想博物館

橄欖冠

616,二十八葉・かんらんかん197,223→フィレンツェ市章
▼「ウン、寺門義道の『紋章学秘録』さ。もう稀覯本になっているんだがね。所で君は、こういう奇妙な紋章を今まで見た事があるだろうか」と法水が指先で突いたのは、DFCOの四字を、二十八葉橄欖冠で包んである不思議な図案だった。
「これが、天正遣欧使の一人──千々石清左衛門直員から始まっている、降矢木家の紋章なんだよ。何故、豊後王普蘭師可怙・休庵(大友宗麟)の花押を中にして、それを、フィレンッェ大公国の市表章旗の一部が包んでいるのだろう。とにかく下の註釈を読んで見給え」197p
■月桂冠 古代ギリシアで、月桂樹をアポロン神の霊木とし、その枝葉を輪にして冠とし、競技の優勝者などに被らせて賞讃の意を表したもの。【広辞苑】
■a laurel wreath【JSJE】
■オリーブを「橄欖」と訳すことがあるが、本来は全く別種。うおのほねぬき。【広辞苑】
■月桂樹 クスノキ科の常緑高木。地中海地方の原産。高さ数メートルに達し、葉は硬い革質、深緑色。雌雄異株。春、淡黄緑色の花を開き、果実は暗紫色、楕円状球形。葉・実共に芳香があって月桂油をとり、香水や料理の香辛料とする。デザインではしばしばオリーブと混同されるが、本種の葉は互生、オリーブは対生なので区別できる。ローレル。ロリエ。【広辞苑】

フィレンツェ市章  降矢木家紋章

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