き01 基音>>>穹窿きゅうりゅう

基音強い一つのきおん298
器械的心理試験452→ミュンスターベルヒ→ハーバードの実験心理学教室
帰化入籍277,四人の・275,363,365,431
換衣室308,596
飢餓入神334
利字ききじ565
奇蹟222,228,253,・売買人253,・的273,299,・処女→ジャンヌ・ダルク328,331,375,393,テラ・ベルゲルの・419,434,442,496,589
北相模さがみ209→芦刈在考
北独逸536
既知数455
気狂い365,・芝居374,・ブレーメル442,狂人きちがい262,狂気双六きちがいすごろく575
紀長谷雄きのはせお卿の故事252→鬼の娘が水に
旧教聯盟429→グスタフス・アドルフス
球形宇宙の縁へり261
弓状硬直ヒステリー患者の・355
宮廷合唱長190→アントニオ・サリエリー
宮廷詩文正朗読師205→キューダビイ
球の外圏261→宇宙の極限
鳩槃茶大臣大将
きゅうはんふだいじんたいしょう
358
糺問官補442
穹窿きゅうりゅう頭上遥か扇形に集束されている・292,扇形をした569,扇形の・572

基音

強い一つの・298
▼「それと云うのが、鐘鳴器カリルロンの讃詠アンセムなんだよ。演奏者は誰だか知らないが、次第に音が衰えて来て、最終の一節は遂に演奏されなかったのだ。それに最後に聞えた、日午ひるは――のところが、不思議にも倍音(ド・レ・ミ・ファと最終のドを基音にした一オクターヴ上の音階)を発している。ねえ、支倉君、これは、蓋し一般的な法則じゃあるまいと思うよ」298p
■fundamental tones楽音を構成する部分音のうち振動数の最小のもの。基本音。→上音。和音における一番下の音。根音。和声の進行において、根音を連ねたもの。【広辞苑】

器械的心理試験

452→ミュンスターベルヒ→ハーバードの実験心理学教室
▼支倉君、いつぞや君は、詩文の問答をツルバール趣味の唱合戦と云った事があったっけね。所が、どうしてそれどころか、あれは心理学者ミュンスターベルヒ*に、いやハーバードの実験心理学教室に対する駁論なんだよ。ああ云う大袈裟な電気計器や記録計などを持ち出した所で、恐らく冷血性の犯罪者には、些細の効果もあるまい。まして、生理学者ウエバーのように自企的に心動を止め、フォンタナのように虹彩を自由自在に収縮できるような人物に打衝ぶつかった日には、あの器械的心理試験が、一体どうなってしまうんだろう。452p
★ヴァン・ダイン【僧正】ベンスンS15p01-06参照

ミュンスターベルヒの実験室風景

ミュンスターベルヒが用いた視覚実験機器
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帰化入籍

277,四人の・275,363,365,431
▼「そうなんだ。だから、そこにもし殺人動機があるのだとすれば、ファウスト博士の隠れ蓑──あの五芒星ペンタグランマの円が判るよ。然し、どのみち一つの角度アングルには相違ないけれども、何しろ四人の帰化入籍と云うような、思いもつかぬものがある程だからね。その深さは並大抵のものじゃあるまい。いや、却って僕は、それを迂闊に首肯してはならないものを握っているんだ」
■naturalization 志望して他の国の国籍を取得し、その国の国民となること。【広辞苑】

換衣室

308,596
▼礼拝堂と換衣室との間の廊下で、死人色をしたあの男に出会いました。308p
■着物を着換えること。着替え。更衣ころもがえ。【広辞苑】

飢餓入神

334
▼「いや、シュトラウスの交響楽詩でもないのさ。それが、陰陽教(ツァラツストラが創始せる波斯の苦行宗教)の呪法綱領なんだよ。神格よりうけたる光は、その源の神をも斃す事あらん――と云ってね。勿論その呪文の目的は、接神の法悦を狙っている。つまり、飢餓入神を行う際に、その論法を続けると、苦行僧に幻覚の統一が起って来ると云うのだ」334p
■飢餓 うえること。うえ。一時的・地域的現象である飢饉と対比して、永続的・慢性的な食糧不足や低栄養状態にいう場合もある。【広辞苑】
■入神 技術が上達して霊妙の域に達すること。入神の技 霊妙な技術。【広辞苑】

利字ききじ

565
▼然し、僕も最初は、誤った観察をしていた。あれはqlikjyikkkjubiと、全部で十四文字になる。すると、二文字を一字とすれば、七文字の単語が出来上って、ik(と続いた部分が二個所もあるのだから、それがeとかsとかの利字ききじを暗示するように思われる。565p

奇蹟

222,228,253,・売買人253,・的273,299,・処女→ジャンヌ・ダルク,テラ・ベルゲルの・419,434,442,496,589
▼しかも伸子は、その咽喉を抉った鎧通しを握って失神し、尚、奇蹟としか考えられない倍音が、経文歌の最後の一節に於いて発せられている。434p
■奇跡・奇蹟miracle 常識では考えられない神秘的な出来事。既知の自然法則を超越した不思議な現象で、宗教的真理の徴と見なされるもの。【広辞苑】

北相模さがみ

209→芦刈在考
▼そして黒死館を展望する丘陵までの間は、樫の防風林や竹林*が続いていて、とにかく其処までは、他奇たきのない北相模さがみの風物であるけれども、一旦丘の上に来てしまうと、俯瞰ふかんした風景が全然風趣を異にしてしまうのだ。209p

北独逸

536
▼ハイデクルッグ王(北独逸ゲルマン族の一族長)からの、虜獲品りょかくひんだったのですからね。536p
■北ドイツ連邦Norddeutscher Bund 1867年にドイツ北部のプロイセン王国を主体に22の領邦から成る連合体を指す。1871年のドイツ帝国(ドイツ国)の母体となり、機構の大部分は引き継がれた。
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既知数

455
▼つまり、或る一点に向って、以上四つの既知数が綜合されて行ったのだが……それは、外でもない夫人固有の病理現象――即ち脊髄癆なんだよ。455p
■値の既に知られた数。また、その値が与えられたと仮定した数。【広辞苑】

気狂い

365,・芝居374,・ブレーメル442,狂人きちがい262,狂気双六きちがいすごろく575
▼ですがクリヴォフ夫人、僕はこの気狂い芝居が、到底人形の焼却だけで終ろうとは思えんのですよ。実を云うと、もっと陰険朦朧いんけんもうろうとした手段で、別に踊らされている人形があるのです。374p
■精神状態が正常でないこと。狂気。乱心。また、その人。狂人。或る物事に熱中して心を奪われること。また、その人。【広辞苑】

気柱を作っているような部分

305→鐘鳴器室
▼まして、この館には、所々円天井や曲面の壁や、また気柱を作っているような部分もあるので、僕は混沌としたものを想像していた。305p

紀長谷雄きのはせお卿の故事

252→鬼の娘が水に
▼「いや、それが紀長谷雄きのはせお卿の故事なのさ。鬼の娘が水になって消えてしまったって」252p
■(845-912)平安前期の漢学者。菅原道真に学び、文章博士。正三位権中納言。894年(寛平6)道真は遣唐大使に、長谷雄は同副使に任ぜられたが、渡航は中止。時平らと延喜格を撰。詩文は「朝野群載」「本朝文粋」などに収める。【広辞苑】

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旧教聯盟

429→グスタフス・アドルフス
▼(原註)一六三一年瑞典王グスタフス・アドルフスは、独逸新教徒擁護のために、旧教聯盟とプロシヤに於いて戦い、ライプチッヒ、レッヒを攻略し、ワルレンシュタインの軍とリュツエルンにて戦う。戦闘の結果は彼の勝利なりしも、戦後の陣中に於いてオッチリーユが糸を引いた一軽騎兵のために狙撃せられ、その暗殺者は、ザックス・ローエンベルグ侯のためその場去らずに射殺せらる。時に、一六三二年十二月六日。429p
■Catholic League, Katholische Liga 1609年7月マクシミリアン1世によりプロテスタント勢力に対抗する形で作られた神聖ローマ帝国軍側の同盟。メンバーは当初南ドイツ(ビュルツブルク、アウグスブルク、コンスタンス、パッサウ、およびレーゲンスブルク)諸国で始まり、1619年までにほとんどのカトリック教徒及び、司教が加盟した。ローマ法王とハプスブルク家王朝の支持も得て30年戦争で目覚しい功績をあげたが、1635年のプラハ和平交渉で解体した。なおグスタフス・アドルフスはこれに対抗するプロテスタント側である。

 30年戦争図
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球形宇宙の縁

261
▼では、最初反太陽説の方から云うと、アインシュタインは、太陽から出た光線が球形宇宙の縁へりを廻って、再び旧の点に帰って来ると云うのです。そして、そのために、最初宇宙の極限に達した時、そこで第一の像を作り、それから、数百万年の旅を続けて球の外圏を廻ってから、今度は背後に当る対向点まで来ると、そこで第二の像を作ると云うのです。261p

★アインシュタイン的宇宙
 アインシュタインは、一般性相対理論(1915年)で、ニュートンが均質で絶対的な空間と考えたものを、物質があると空間が曲がることを示し、空間が絶対的なものではないことを示た。また、相対論的宇宙論(1917年)では、静止宇宙モデルとも呼ばれる、一様で安定した理想的な宇宙モデルを追求した。この宇宙観は、この世が有限で閉じた世界であることを示し、宇宙には端はなく、等方で、物質の分布も一様であると考えていた。しかし、宇宙の構造を保つには、重力だけでは不可能だと気づき「宇宙項λ」を重力場の宇宙方程式に導入しました。後に宇宙項のミスを認め「宇宙項は私の生涯最大の失敗だった」と語っている。
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弓状硬直

ヒステリー患者の・355
▼……更に、肋骨が透いて見えて、如何にも貧血的な非化体相と云い……その凡てが、B祭時代のものに酷似してはいる、が却ってそれよりも、ヒステリー患者の弓状硬直でも見るようで――如何にもそう云った、精神病理的な感じに圧倒されるのだった。355p

★背反弓 Arc de cercle【「精神分析」 8-5 86p s.15.5.】
★ヒステリー弓hysterical arc 筋硬直によって顔面を上に弓反りになること。解離性障害(ヒステリー)における一症状。
★後弓反射こうきゅうはんしゃ  背中の筋肉がつっぱって体が弓なりにそり返える状態。ヒステリー弓と同一の症状だが、破傷風菌などの感染時にも発症。
 Max Ernst

宮廷合唱長

190→アントニオ・サリエリー
▼楽聖モッツァルトの埋葬は、霙を交えた北風の吹き荒む、十二月の空の下に行われた。しかし、その葬儀に列なったものは、宮廷合唱長のアントニオ・サリエリー、友人ジュスマイエルほか四人に過ぎなかったが、柩が墓地門に着いた頃は、それ等の人も一人去り二人去りして、残ったのは、僅かに柩車を駆る馭者一人のみ。また、それを迎えたのも、穴掘ハルシュカ一人だったと云う、まさに、芸術史上空前の悲惨事なのであった。190p
★kapellmeisterは、楽隊長の訳語もあるが、合唱長は虫太郎の勘違いではないだろうか。
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宮廷詩文正朗読師

205→キューダビイ
▼その最初のものは、宮廷詩文正朗読師の主キューダビイが、出仕しようとした朝だった。当持不貞の噂が高かった妻のアンが、送り出しの接吻をしようとして腕を相手の肩に繞らすと、矢庭に主は短剣を引き抜いて、背後の帷幕に突き立てたのだ。205p

球の外圏

261→宇宙の極限
▼そして、そのために、最初宇宙の極限に達した時、そこで第一の像を作り、それから、数百万年の旅を続けて球の外圏を廻ってから、今度は背後に当る対向点たいこうてんまで来ると、そこで第二の像を作ると云うのです。然しその時には、既に太陽は死滅していて一個の暗黒星に過ぎないでしょう。261p

鳩槃茶大臣大将きゅうはんふだいじんたいしょう

358→鳩槃荼〈くばんだ〉〔原音「クンバーンダ」〕【教養文庫解題490】
■ Kumbhanda,Kumubhanda,クハンダ,クバンダ,クムバーンダ,クンバーンタ,鳩垣,鳩槃茶 インドの妖怪。名は「瓶のような性器を持つ者」の意。女の妖怪で,瓶のような性器で男の精を搾り取る。馬頭人身の大男とも。仏教においては鳩槃茶。ヴェーダではルドラ,仏典では増長天の眷属であり,増長天自身も鳩槃茶の王である。仁王経での八部衆のひとつで「夜叉」に相当する。梵天が造った水を守る神とも、死者のたましいを吸う悪鬼で人を苦しめる神、あるいは財宝神毘沙門天の家来、また南方守護神増長天の家来ともされる。興福寺の八部衆(国宝)に 沙羯羅(サカラ・竜)、迦楼羅(カルラ)、阿修羅、 乾闥婆(カンダツバ)、緊那羅(キンナラ)畢婆迦羅(ヒバカラ・摩ご羅迦)とともにある。

★泉鏡花「鬼の角」第八章に登場。

糺問官補

442
▼西班牙スペインセヴィリアの宗教裁判所に、糺問官補のフォスコロと云う若い僧がいたのだ。所が、彼の糺問法が頗る鈍いばかりでなく、万聖節に行われる異端焚殺行列オウト・デ・フェにも恐怖を覚えると云う始末なので、止むなく宗教裁判副長のスピノザは、彼を生地サントニアの荘園に送り還してしまったのだ。442p

■糺問・糾問 罪を問いただすこと。尋問。
■糾問主義 犯罪の真相解明にあたる者(糾問官)が手続を開始し、 訴訟関係者に真相解明に必要な証拠の提供を法的に義務づける方式
■異端糺問官 Inquisitor General of the Holy Office

Francisco de Goya, The Inquisition Tribunal(1746)

関連サイト

穹窿

頭上遥か扇形に集束されているきゅうりゅう292,扇形をしたきゅうりゅう569,扇形の・572
▼彼の眼前に現われた一つの驚くべきもの以外の世界は――座席の背長椅子バルダシンも、頭上に交錯している扇形の穹窿きゅうりゅも、まるで嵐の森のように揺れ始めて、それ等がともども、彼の足元に開かれた無明の深淵の中へ墜ち込んで行くのだった。573p
■vault (中央が高くて弓形をなす意)半球状に見える天空。大空。そら。半球状の屋根・天井。ドーム。【広辞苑】

rib vaultの一例 St. Muredach's Cathedral(アイルランド)


Pierre Antoine Demachy, Temple in Ruins
関連サイト

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