け01 頸髄神経の目的とする部分>>>ケンネル殺人事件

頸髄神経の目的とする部分388→ジーグフリードの木の葉
経籍志玉房指要
けいせきしぎょくぼうしよう
338
頸椎けいつい385
『化胡経けごきょう』339
化体けたい318
建築様式289,刑務所の・442,・の差443
月世界の山脈か沙漠の砂丘581
乾隆硝子ガラスの大花瓶516
魔王ケーニッヒの衣裳コスチュウム429
ケーニヒスブルック612
杖ケーン369,374
ケックスホルム擲弾兵てきだんへい286
筒太鼓ケットル・ドラム506
ケルト・ルネサンス式194
ケルネルの詩634,643
ケルン199
ケント次男・205→キューダビイ
ケンネル殺人事件197→ヴァンダイン

頸髄神経の目的とする部分

388→ジーグフリードの木の葉
▼それを失神した人間の全身に渉って行うのだが、手の運動を司どる第七第八頸椎に当る部分だけを、恰度ジーグフリードの木の葉のように残して置くのだ。何故なら、失神中は皮膚の触覚を欠いていても、内部の筋覚や関節感覚、それに、擽痒の感覚には一番刺戟され易いのだからね。すると、当然その場所に、劇烈な擽痒が起る。そうしてそれが電気刺戟のように、頸髄神経の目的とする部分を刺戟して、指に無意識運動を起させるに違いないのだ。387-8p
■頸髄 各脊髄神経に対応する脊髄の部分を髄節といい,頸髄8節,胸髄12節,腰髄5節,仙髄5節,尾髄1節に分けられる。脊髄は第6頸髄と第4腰髄のあたりで太くなっていて,それぞれ頸膨大,腰膨大と呼ばれている。これは,この高さから上肢あるいは下肢にいく太い神経が出ているため,脊髄の中でこれらの神経を出す神経細胞の集団がよく発達しているからである。【大百科】

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経籍志玉房指要けいせきしぎょくぼうしよう

338
■「玉房秘訣」【大全71p】

★経籍志と玉房指要は別の書籍。
隋書「経籍志」の本文は以下にある。内容は書誌で房術とは関係ない。掲載書名に「玉房秘訣」はあるが「玉房指要」はない。
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中国医籍記録年代総目録(十六世紀以前) 玉房指要(「医心」984年、「衛生秘要」1288年)
★玉房指要の具体的な内容はこちら

頸椎けいつい

385
▼「所で、頸椎けいついは調べたろうね。僕はクインケじゃないが、恐怖と失神は頸椎の痛覚なり――と云うのは至言だと思うよ」385p
■脊椎(せきつい)動物の脊椎骨の一部。哺乳(ほにゅう)類では、脊椎骨の上部の七個を指す。 【広辞苑】

『化胡経けごきょう』

339→『老子化胡経ろうしけこきょう』〔老子が西に行って釈尊になったという珍説〕【教養文庫解題487】
★青空文庫に桑原隲藏による論文データあり。
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化体けたい

318→怪態〈けたい〉〔「希代」が語源的に正しいかもしれぬが、通行の用字を採る。〕【教養文庫解題 484】
▼然し、考えように依っては、より以上の化体けたいと思われる伸子の失神に、もう一度神経を酷使せねばならぬ義務が残っていた。318p
■化体説かたいせつ transubstantiation theory ローマ‐カトリック教会のミサにおいて司祭の聖別の祈りによって、パンと葡萄酒との実質がキリストの肉と血に変じ(聖変化)、ただ形・色・味などの属性だけパンと葡萄酒として現れるとする教理。実質的変化ともいう。【広辞苑】

建築様式

289,刑務所の・442,・の差443
▼どうしてフォスコロの嗜血癖が、残忍な拷問刑具の整列裡では起らずに、美しいビスカヨ湾の自然のなかで生れたのだろうか。そのセヴィリア宗教裁判所とサントニア荘との建築様式の差を、この事件でも決して看過してはならんと、僕は断言したいのだよ。443p

月世界の山脈か沙漠の砂丘

581
▼しかも、その無数の線条は、殆んど室全体の床に渉っていて、濛気で堆塵たいじんの上に作られた細溝には相違ないけれども、不思議な事に、天井や周囲の壁面には、それと思おぼしい痕跡が残されていない。そればかりでなく、更に床を横合から透かしてみると、まるで月世界の山脈か沙漠の砂丘としか思われぬような起伏が、そこにもまた無数と続いているのだった。581p

乾隆硝子ガラスの大花瓶

516
▼突然蹌踉よろめいて、持ったその本を、隅にある乾隆硝子ガラスの大花瓶に打ち当てて、倒してしまったので御座います。516p
■乾隆 中国、清の高宗朝の年号。(1736〜1795)【広辞苑】【WA.26 76】
★康煕、乾隆の間には色硝子を重ねて、漆技の紅花緑葉の如き妙を表した花瓶、水瓶、壺、鉢の類があり、(略)世に謂う乾隆グラスの尊重すべき所以であって、眞に世界的の大発達を遂げたもので今日尚至難とせらるる科学手にの妙が技巧と相俟って居るものである。【WA別巻 工芸篇(上)】
★瓢形乾隆花瓶【「ケンネル殺人事件」158p SML】

魔王ケーニッヒの衣裳コスチュウム

429
▼冗談じゃないぜ、斯んなに素晴らしい魔王ケーニッヒの衣裳コスチュームが、弾薬塔ブルヴェル・トゥルムや砲壁バルバカンヌの中にあって溜るもんか。支倉君、僕の魔法史的考察は遂に徒労ではなかったのだ。429p
■konig 王、君主、國王【GDW】
★魔王ならErlkonig。シューベルト「魔王」(ゲーテ作詞)に繋がるのか?

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ケーニヒスブルック

612
▼(註)後日法水は、ストラモニヒナスがついに伝説以上のものだったのに、驚いたと云っている。それは、ゲオルヒ・バルティシュ(十六世紀ケーニヒスブルックの薬学者)の著述の中に記されているのみで、近世になってからは、一八九五年にフィッシュと云って、印度大麻の栽培を奨励した、独領東亜弗利加(アフリカ)会社の伝道医師のみ。612p

■Königsbrück ドイツ・ドレスデンから北へ25km、Saxonyの町。

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★当初、この地名をケーニヒスブルグ(アルザス地方の古都市 Haut Koenigsbourg)と記載しておりましたが、伊藤昌英様からのご指摘により、正しい地名が判明しました。また同地の出身者のゲオルヒ・バルティシュGeorg Bartischの詳細についてもご教示いただけました。誠にありがとうございました。(2009.3.9 修正・追記)
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杖ケーン

369,374
▼やがて、クリヴォフ夫人は法水の前に立つと、杖ケーンの先で卓子テーブルを叩き、命ずるような強い声音で云った。369p
■cane 杖,ステッキ【SSD】

ケックスホルム擲弾兵てきだんへい

286
▼なんで、貴方のような兇猛無比――まるでケックスホルム擲弾兵てきだんへいみたいな方が、唱うに事欠いて惨めな牧歌マドリガーレとは……。286p
■keck 大膽な,勇敢な,大膽すぎる,奇抜すぎる. keckheit 大膽,放膽【SSDD】
■grenadier 擲弾兵,手榴弾兵【SSDD】
■擲弾 白兵戦などにて、兵士の手にて投げ飛ばす爆弾。【廣辭林】
■Kexholms 1634年から1721年まであったスウェーデンの県。その大部分はニスタット条約によりロシア帝国へ割譲された。県都ケックスホルム(フィンランド語名 カキサルミ)は現在プリオゼルスクに当たる。県域は北はリエクサ、東はヒュルシュラに達した。南はViborg och Nyslott県に隣接する。1812年に「古きフィンランド」の一部としてフィンランド大公国の一部となった。しかし最北部は1808年〜1809年の第二次ロシア・スウェーデン戦争(フィンランド戦争)までスウェーデン領に残った。
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筒太鼓ケットル・ドラム

506
▼その左側の頁ページには、大身槍おおみのやりを振った髑髏人が、一人の騎士の胴体を芋刺しにしている図が描かれ、また、その右側のは、大勢の骸骨が長管喇叭トロムパや角笛ホルンを吹き筒太鼓ケットル・ドラムを鳴らしたりして、勝利の乱舞に酔いしれている光景だった。506p
■kettle-drum or timpano 【SSD】
■ティンパニ、ケトルドラムは、現代のオーケストラでもっともしばしば使われる打楽器である。それらは、(一般に)獣皮かプラスチックのドラムヘッドによって覆われた大きな金属製の鉢形の外殻でできており、通常先端をフェルトに覆われた木製の棒で打ちつけて音を出す。ドラムヘッドの張り加減を変えることによって(音色を変える)。【CIE】

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ケルト・ルネサンス式

194
▼その豪壮を極めたケルト・ルネサンス式の城館シャトウを見慣れた今日でさえも、尖塔や櫓楼ろろうの量線から来る奇異な感覚──まるでマッケイの古めかしい地理本の挿画でも見るような感じは、何日いつになっても変わらないのである。194p

★アイルランド文芸復興運動と時を同じくして、英国ヴィクトリア朝の新興階級は、工業力の進展によるエネルギー産業の拡大や、生産力の爆発的な増加によって得た利益を、歴史小説の挿絵にあるような中世趣味の館を建てることで、誇示するのが流行していた。彼ら成金は、伝統的な貴族の、大陸的な趣味の好さをまねるより、絵画的ピクチャレスクなゴシック模倣の道を選んだ【gothic revival】。

★アイルランド文芸復興運動盛んな頃、当時の工業地域である北イングランドや低スコットランド、さらに北アイルランドの紡績工業地帯の旧ケルト地域にゴシック様式の建築が集中していた。よき趣味人や正統的な建築家に酷評されながらも、彼らは、その統一されざる様式が、空間恐怖じみた様式の混乱こそが、隠されていたケルト趣味の表現、昔ながらの英国的国民性の復活だと考えていたのかもしれない。それらの一見奇妙に見える建築に似て、周辺と隔絶した書割もどきの洋館建築が、明治中期、日本でも各所に建てられたことがあった。建築主の意図はともあれ、なんとなく砂上の楼閣じみて見えるそれらの洋館が、虫太郎に反時代の牙城としての“ケルト・ルネサンス式”のヒントとなったのではないだろうか。

ケルネルの詩

634,643
▼「伸子さん、既に嵐と急迫の時代は去りましたよ。この館も再び旧もとの通りに、絢爛たる詩と恋歌マドリガーレの世界に帰る事でしょう。所で、ああして響尾蛇がらがらへびの牙は、すっかり抜いてしまったのですから、貴女は懼おそれず僕に、例の約束を実行して下さるでしょうね。もう、何も終って、新しい世界が始まるのですよ。この神秘的な事件の閉幕を、僕は斯う云うケルネルの詩で飾りたいのですがね。色は黄なる秋、夜の灯ともしびを過ぎれば紅あかき春の花とならん――」634p

★候補の詩人は二件。
Kerner,Justinus(1786-1862)ドイツの詩人,医者,シュヴァーベン詩派の一人.諧謔に満ちた清新な民謡調の抒情詩《gedichte,1826》他.晩年は神秘主義に傾いた.【IB】
Korner,Karl Theodor(1791-1813)愛国詩を作って広く愛誦された.【IB】

ケルン

199
▼シャルコーの随想の中には、ケルンで、兄が弟に祖先は悪竜を退治した聖ゲオルグだと戯談を云ったばかりに、尼僧の蔭口をきいた下女をその弟が殺してしまった──と云う記録が残っている。199p
■Koln ドイツ西部、ライン川に沿う商工業都市。交通の要地。ローマの植民都市として成立、 八世紀末大司教区を設置、1814年プロイセンに合併。 ゴシック式大聖堂は有名。 人口91万4千(1986)。 フランス語名コローニュ。【広辞苑】

ケント

次男・205→キューダビイ

ケンネル殺人事件

197→ヴァンダイン
▼「悠っくりしようよ支倉君、あの日本で一番不思議な一族に殺人事件が起ったのだとしたら、どうせ、一、二時間は、予備智識に費るものと思わなけりゃならんよ。大体、いつぞやのケンネル殺人事件──あれでは、支那古代陶器が単なる装飾物に過ぎなかった。所が今度は、算哲博士が死蔵している、カロリング朝以来の工芸品だ。その中に、或はボルジアの壷がないとは云われまい。然し、福音書の写本などは一見して判るものじゃないから……」197p
★『新青年』S8.[1933]1月-5月延原謙訳にて掲載。原書は1932年刊。単行本としては『ケンネル殺人事件』ヴァンダイン 新潮社 S8年発行。
★原文テキストはこちらから。
 映画版タイトル(1933)

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